やっぱり宮藤官九郎はすごかった
『不適切にもほどがある!』

『不適切にもほどがある!』(TBS系/毎週金曜22時〜)公式サイトより。

コンプライアンス意識の低い“昭和のおじさん”市郎(阿部サダヲ)が令和にタイムスリップ! 不適切発言で令和の停滞した空気をかき回していく『不適切にもほどがある!』。放送スタートする前は、市郎が令和でさまざまなことを学び、昭和のいいところと令和のいいところのハイブリッドおじさんになるのかな? と予想していたんです。ただ、第1話を観た時点では、「令和は窮屈だよね。その点、昭和は自由で生きやすかった」という方向に行ってしまうのでは? と一抹の不安を感じてしまいました。

 

しかし、第3話あたりからの巻き返しがすごかった。市郎は令和で学んだコンプライアンスを、昭和に持ち帰ってきたのです。みんな、誰かの娘であり、誰かの息子なんだという意識を持てば、もっと相手のことを大事にできるのかもしれない。ガチガチの頭で「これは、セクハラになってしまう」「パワハラにならないように……」と考えるのではなく、物ごとを捉える視点を根本から変えていく。やっぱり、こっちの方向だよね! とホッとしました。

突然始まるミュージカルも、最初は「え、え、これはなんだ?」と戸惑ってしまいましたが、だんだん慣れてきました。なんなら、クセになっています(笑)。おそらく、セクハラやパワハラなど、令和の世にはびこる問題にクエスチョンを投げかけるというのが、このミュージカルの狙い。たしかに、台詞で言われると重々しい感じがしますが、ポップな曲調に乗せて楽しそうに語ってもらえると、フランクに向き合うことができる。やっぱり、宮藤官九郎はすごいな……と思わされます。