「クローゼットにはたくさん服があるのに、着たい服がない!」
おしゃれが好きで、いろんなアイテムを買い揃えてきたものの、クローゼットがパンパンになるほど服があふれかえっている。ということはありませんか? 
「部屋が片付かない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの『もやもや』整理術」(扶桑社)の著者で、アーティスト/イラストレーター松尾たいこさんは、大のファッション好き。ショッピングに行っては、「素敵!」と思ったものはためらいなく買っていた時期があったそう。でも、いまの松尾さんのクローゼットは、「本当に好きなもの」だけ厳選され、整理がきちんと行き届いています。どのようにしてそんな状態にたどり着いたのでしょうか?

ファッションが好きで買い続けた時代
一方で満たされない心が苦しくて


松尾さんは小さい頃からファッションが大好きで、学生の頃は限られたお金をやりくりして、工夫してファッションを楽しんでいました。社会人になり、自分が稼いだお金で自由に洋服を買えるようになると、ものすごい勢いでファッションにお金をかけるようになったそう。

「毎月ファッション雑誌を買って眺めては、ふわふわした気持ちでショッピングに行きました。私にとって洋服を買うことは、最大の“娯楽”にして、最高の“ストレス解消”だったのです」

そのため、クローゼットはいつもパンパンで、買ったことを忘れてしまった服も数知れず。しかも、どれも気に入って買ったはずなのに、「これを着たい!」という気持ちが湧き上がらず、クローゼットを開けるのが憂鬱になるほどだったと振り返ります。

 

そんな時、松尾さんは靴下や肌着などの消耗品をのぞいて、「1年間洋服を買わないチャレンジ」に取り組むことを決意。知り合いのスタイリストや編集者が実践していて、興味を持ったというのです。松尾さんはこの1年間を通してクローゼットに真正面から向き合い、自分が本当に好きで似合うファッションは何なのかを見つめ直し、手持ちのものを工夫して着こなすことの楽しさを知りました。詳しくは『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない! そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』(扶桑社)にありますが、この過程で、松尾さんが洋服を買い続けていた理由のひとつに、「洋服への過度の依存」があったことに気づいたそう。

「流行の最先端のものや、個性的なデザインの服を身につけると、それだけで自信がみなぎってきます。それはファッションの素晴らしさであり、それを否定するつもりはありません。ただ、ファッションに頼りすぎるあまり、自分自身を見失ってしまっては本末転倒です」

「服が自分を変えてくれる」と思い込んでいた時期があったという松尾さん。でも、実際はそうではなく、たまる一方の服を見て、「もやもや」する頻度が増え、心が苦しくなっていったというのです。

今、松尾さんのクローゼットには最盛期に比べて2分の1の服や小物類しかありません。

 
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