叔父さまがお墓に入る入らないということは別にしても、いずれにせよこのお墓は、お母さまか叔父さまご夫婦の代で終わることになりますから、その後どうするかという問題は出てきます。そこでChilipadiさんは、ご両親の夫婦墓を別に建てようと考えられているのでしょう。そのためにはお父さまの遺骨を移したいと、お寺に相談する必要があります。しかしそこに叔父さまが入ってきていますから、難しいですよね。お寺は、お父さまの遺骨を移すことについて、管理者を名乗る叔父さまのほうとも話をしようとするでしょうから。
そこでここからはご提案です。Chilipadiさんはとくに信心深くないとおっしゃられていますから、書かれているように、お母さま、叔父さま夫婦が亡くなった後の永代供養(※お墓参りをしてくれる人がいない、またはお墓参りに行けない人に代わって、寺院や霊園が管理や供養を行う形式。期間が決められていることが多い)を検討なさってもいいと思います。もちろん永代供養でもお金がかかりますし、現在はこうした供養業界も過渡期にありますので、寺院や霊園などお墓の管理者が変わる可能性もゼロではありません。ですので、そのお金の準備をしながら今は様子を見られるのが良いかと思います。
お金に関しては、お父さまの遺骨を移す場合も必要になってきます。遺骨をお墓から取り出す作業料だけでなく、供養してもらうお寺を変える場合は檀家ではなくなることになりますから、離檀料を要求される場合もあります。これがけっこう高いのですよ。ただ離檀料はお布施と同じで慣習ですので、お寺に相談することももちろんできます。
ただお墓を新しく建ててお父様の遺骨を移したとしても、今のお墓にそのままお母さまも入ったとしても、Chilipadiさんとお姉さんが亡くなった後は、お墓に関しては、やはりお二人のお子様が管理をすることになります。Chilipadiさんは将来のことを冷静に考えられていますから、せっかくなら子どもさんたちへの負担を減らすことも考えて、Chilipadiさんが先祖の墓じまいをされてもいいかもしれませんね。
たとえば、ほかの人と一緒に埋葬される合祀などの方法もありますし、いろいろと調べてみることをお勧めいたします。埋葬や供養については今、新しい埋葬の方法や、反対に墓地を維持できない寺院も増えているなど、変化が激しいのが実情です。ですから急がず、動向をまずは見守ること。ただし何を選ぶにしてもお金はかかりますから、そのためのお金を準備しながら様子を見る、ということが大切になってくると思います。
……と事務的なお話ばかりさせていただきましたが、一方でお墓というのは、「自分自身の、亡くなった方との付き合い方」の象徴でもあると思うのです。亡くなった方たちとどういう気持ちで向き合うか、それは命との向き合い方にもつながる大切な教養だと私は思っています。Chilipadiさんは大変冷静でいらっしゃって、それはそれで良いことだと思いますが、もし気持ちに余裕がありましたら、今一度、ご先祖さま、先に亡くなったご家族とどう向き合っていきたいのか、ということも是非考えみてはいかがでしょう。死んだらそれで終わりなのか、何かの節目に向き合いたい存在なのか。そのどちらも間違っていないと私は思いますが、そういう視点で考えてみることはお勧めしたいと思います。そうすれば、お墓問題をどう解決すればいいのかということも、おのずと見えてくるかもしれませんよ。
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- 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。 この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
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