ご結婚の決意と両親への感謝をつづったクリスマスカード

そんな優しいご両親に、ある年の暮れ、雅子さんは一通のクリスマスカードを贈りました。そのカードには、雅子さんの胸の内に秘めた熱い想いがつづられていたのです。

お父様、お母様

　一足遅れのMerry Christmasですが…
今年一年は本当に随分と御心配をおかけしました。お蔭様で私も十分に考えた結果、新しい人生の一歩を踏み出す決心をすることができました。こうして皆でクリスマスや年の暮れをお祝いできるのもこれで最後かもしれないけれど、今思うことは、こんなに温かい家庭でずっと幸せに育てて頂いて本当に有難うということです。
これから暫くまた大変になると思いますが、どうぞ宜しくね。
最後に一杯の幸せをお祈りして……Sincerely　 雅子

雅子さんが浩宮さま（今の天皇陛下）とのご結婚を承諾されたのが、1992年12月12日。これはその直後に書かれたカードです。年が明けた1月6日にはいっせいに婚約内定のニュースが流れます。そのわずかな間の家族のやり取りが、手に取るように伝わってくる文面です。

振り返れば、スペインのエレナ王女を歓迎する茶会で初めて浩宮さまと出会ったのが1986年10月。その後、外務省に入省してイギリス・オックスフォード大学に留学。帰国後、4年10カ月ぶりの再会を経て1992年10月に千葉の新浜鴨場で浩宮さまからのプロポーズを受けたのです。

プロポーズをお受けすると決めるまで、雅子さんはもちろんですが、ご家族もさぞ苦しみ悩まれたことでしょう。そのご両親の気持ちを察して、雅子さんは労りと愛情を込めたクリスマスカードを贈られたのです。おそらくクリスマスの日を過ぎてしまってから渡されたと思われる文面からも、雅子さんがどうやって自分の想いをご両親に伝えようかと、考えあぐねていた時間が感じられます。

数々の気力や体力が必要とされる即位の儀式を、すべて無事に終えられた今年のクリスマス。雅子さまはどれほど心安らかに迎えられていることでしょう。天皇陛下と愛子さまとともに過ごすクリスマスが、穏やかで幸せなものであるよう祈ってやみません。

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小和田家の家族写真の数々。写真すべて／宮内庁提供

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