腰痛を改善する方法

 

それでは、いざ腰痛が出てしまった時に、どう対処すればよいでしょうか。まずは先に説明したような腰痛以外の症状がないかを確認してください。足の症状や体重減少といった症状があれば、医療機関にご相談ください。

また、足の力が急に入らなくなった、尿や便を漏らすようになってしまった、高熱が出ている、などの症状があれば緊急性が高い可能性があるので、すぐにでも医療機関に問い合わせていただく必要があります。

これらの心配な症状がない場合には、自宅でいくつかの方法を試すことが可能です。

まず、急性腰痛は昔から「横になって休めば治る」と言われていましたが、今ではそれは否定されています。むしろ、これまでの研究から、ベッドで横になって休む方が痛みは悪化しやすく、回復までの時間が長期化することが示唆されています(参考4)。

このことから、痛みが出た場合にも、痛みの耐えうる範囲で日常生活を続けることが大切です。仕事がある場合には、腰に負担のかかるようなものを避け、業務量を軽くして続けるような調整が可能であれば、仕事を続けながら治癒を目指すことができます。

痛みに対しては、湿布薬や温めるのが有効です(参考5)。両者を兼ねた温湿布でも構いません。また、痛みが強ければ、生理痛や頭痛に使われるような痛み止めの飲み薬を使います。

その他に、マッサージや鍼治療、整体などが有効な可能性もあります。これらはいずれも劇的な効果が示されているわけではないものの、わずかに有効性が示唆されている治療法です(参考6・7)。

特定のマッサージ法や整体の施術を「他で治らない腰痛も治る」と誇大広告しているケースも見られますが、そういった特定の方法が科学的に有効と証明されているわけではありません。腰痛は多くの人が抱える問題なので、商売にもつながりやすいのです。
 

腰痛の予防法


また、そもそも腰痛は「予防」することができます。

まず、腰痛が出やすい人の共通点として、日頃運動をしていない人、肥満のある人、タバコを吸う人、仕事上のストレスを抱えている人などが知られています(参考8)。

逆に言えば、日頃の運動やダイエット、禁煙、ストレスマネジメントが腰痛の予防になります。この予防の領域でも「腰痛に効く」などとしてマッサージ機や靴、マットレスなどが紹介されているケースも目にしますが、やはり必ずしも科学的に証明されたものではないことに注意が必要です。

運動は、体操、ヨガ、ストレッチ、あるいはウォーキング、水泳、太極拳などでもよく、自分に無理なく続けられる、自分と相性の良いものを選ぶことが大切です。

ここに書いた運動法は全て腰痛の予防に有効であることが科学的に示唆されていますが、単一の方法が他より優れたことを示すデータはありません(参考9・10)。友人がやってよかった方法や有名人が紹介する方法が自分に合うとも限らないので、自分に合った方法をぜひ選んでください。

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