家族もご飯も大事。それでも私には私の人生がある

和田家のお正月風景。お節にこだわることなく、一家の好きなものを作り、ひたすらお酒を楽しむのだそう。

様々な工夫で、決して多くはないけれども自分の自由時間を生み出している和田さん。では現状に満足しているかというと、「諦めを含んだ満足ですね」と、そこは苦笑。

 

「自分の時間は欲しいけれど、そのために子供との時間を削ったり、仕事のペースを変えるほうがもったいないな、と思っています。でも、脳が元気でものをいっぱい覚えられるうちに、もっといろんなことを勉強したいな、という気持ちはあります。食器が好きなので陶芸や焼き物のことも知りたいし、買ったけれど読んでない本もいっぱいあるし。こういうのって、いつか時間ができたら……と思うかもしれないですけど、思い立ったときに動かないと気持ちが変わることってあるじゃないですか。そういう焦りはあります。ただ、来年から末っ子が小学生になるので、そうしたらお迎えがいらなくなります。今より自分の時間が増えるので、もう少し勉強時間も取れるようになるだろうし、仕事は17時までと決めていたルールも見直そうかな、と考えているところです」

和田さんは、家のご飯がいつか子供たちにとっての支えとなってくれたら嬉しい、という思いから、忙しい中でも毎日キッチンに立っています。「あなたを支えてきたご飯がある、どんなときも一人ぼっちということはないよ」と。でもそうすると、ついつい「家族のために」と全ての時間を費やしてしまう女性も多いと思います。なぜ和田さんは、「それでも私には私の人生がある、家族のご飯だけ作っていたらいい、というわけにはいかない」という考え方を持つようになったのでしょう?

「今の仕事を始めるまでは、けっこう長い期間専業主婦だったんです。そうすると、何となく『子育てが終わったら私は何をするんだろう?』と思っていて。とくに資格も持っていないし、これがやりたいというものもない。自分が何者でもない気がして、どこか不安だったんですよね。世の中には大きく、おうちにいて家族のことを一番に考え常に向き合ってくれるお母さんと、仕事をして『今日はこんなことがあったのよ』と外の世界を持ち込むお母さんの、2タイプがいると思うんです。どちらがいいというわけではないですが、私は自分の母親も、義母のレミさんも後者だったので、自分もそうなりたいなと思ったんです。アイデンティティが家族だけになると、どうしても家族に求めることが大きくなってしまう気もして。でも家族には家族の人生がある。それを、それぞれが家に持ち帰ってシェアする、という形が私はいいなと想ったんですよね」

この、どこかドライで自立した考え方はご両親の影響だと思う、と言います。

「親が、親だろうが子供だろうがしょせん人は人、という考え方の持ち主だったんですよね。自分が考えていることは自分にしか分からない、何を選択するかもその人が決めること、というどこか冷めたところがあって、わりと『勝手にしなさい』というスタンスで育てられたんです。もちろん、愛してはくれているんですよ。でも親に助言をされたところで、自分で体験してみたら違った、ということは多いじゃないですか。勝手にさせてもらった結果、そういうことを強く感じてきたので、“自分には自分の人生がある”という思いが強くなったのかもしれません」

心地よい距離感が感じられる和田さんの家族観。間もなく、国民的家族行事でもあるお正月到来ですが、和田家はどのように過ごす予定?

「お正月は、和田家は三日三晩食べて飲み続けるんです。おせちは不人気なので本格的なものは作っていなくて、人気の黒豆や海老のうま煮、ごまめなどをちょこちょこ作って持ち寄る程度です。あとは、お正月とは関係ないローストビーフとか作って、それをおつまみに皆でひたすらお酒を飲んでいます。でも、年末は私が全員分の年越しそばを作りますし、元旦はレミさんが最高に美味しいお雑煮を作ってくれます。もう、これがないと1年が始まらないというくらい! 今年は例年ならできたことがほとんどできなかったので、お正月ぐらいはそういった行事らしいことをきちんとしたいなと思っています」

 

『和田明日香のほったらかしレシピ』¥1000/辰巳出版

朝5分の仕込みで夜の支度が劇的にラクになるレシピ、ほぼワンステップの炊飯器まかせレシピ、困ったときの救世主レシピなど、一工夫あって時短なレシピが盛りだくさん。珍しい調味料や特別な調理器具も一切いらないのが嬉しい。空いた時間で何しよう?となるかも!

 

『和田明日香のほったらかしレシピ 献立編』¥1000/辰巳出版

大反響「ほったらかしレシピ」の第二弾は献立編。今回は「ほったらかす」に加えて、品数をいっぱい作りたい日にも、ひと皿作るので精一杯の日にも、お役立ちのアイデアが満載! 忙しい和田さんの日々から編み出されたレシピは、「今日のごはん どうしよう?」という時に、すぐに試せるレシピが見つかるはず!


取材/山本奈緒子 構成/藤本容子
 
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