40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

これまでの話
アラフォー独身の進藤早希は、年下カメラマンにときめきつつも自分は恋愛に向かないと仕事に邁進していた。しかし望まぬ内示同期からの嫉妬、さらには転職の誘いも受けてキャリアに迷う。そんな矢先、ようやく離婚を決めた親友・美穂のモラハラ夫から、なぜか早希に連絡がきた。
 


「風の時代の女たち」連載一覧はこちら>>>

***

深夜に届いたメッセンジャーの送り主

妻に逃げられたDV夫の暴走。40歳・独身女をカフェに呼び出した目的は...スライダー1_1
妻に逃げられたDV夫の暴走。40歳・独身女をカフェに呼び出した目的は...スライダー1_2
妻に逃げられたDV夫の暴走。40歳・独身女をカフェに呼び出した目的は...スライダー1_3

「ど、どうしたらいい……?」

手にしたスマホを茫然と見つめ、進藤早希はたまらず口に出した。静まりかえった部屋に自らの声が不安げに響く。

『早希ちゃん、お久しぶりです。突然ごめんね』
『もう聞いたと思うけど美穂が家を出て行ってしまって……その件で、ちょっと話せないかな?』

“Takayuki Shimizu”――美穂の夫のアカウントから、急に届いたメッセンジャー。

彼とは結婚式で会った以来だ。Facebookで繋がっていたことも忘れていたが、どうやら二次会のやりとりか何かでお互い承認し合っていたらしい。

――とにかく、美穂には伝えた方がいいよね。

美穂も含めた女友達4人のZoomは先ほどお開きになった。

件のメッセンジャーに気付いてからは気が気ではなく、最後の方は何を話したかまったく覚えていない。あまりの事態に気が動転し、また皆がいる場で伝えるのもためらわれて言い出せないまま終わってしまった。

しかしやはり美穂には共有しておくべきだろう。

そう結論づけて再びスマホと向き合う。ところが電話をかけようと画面をタップしたその瞬間、早希は驚いて目を見開いた。

返信が待ちきれなかったのだろうか。“Takayuki Shimizu”が、今度は着信をよこしたのだ。

【写真】アラフォー女性編集者の日常
▼右にスワイプしてください▼