40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

これまでの話
アラフォー独身の進藤早希は、離婚を決めた親友・美穂の夫から呼び出され、暴力的に腕を掴まれ戦慄……その場に居合わせた年下カメラマン・北山隼人に救われる。そして美穂もついにDV夫と直接対決した
 


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DV夫と決別した妻の、深い愛

罠にハメられた...男の嫉妬を買い、40歳で大企業を追われた女の失敗スライダー1_1
罠にハメられた...男の嫉妬を買い、40歳で大企業を追われた女の失敗スライダー1_2
罠にハメられた...男の嫉妬を買い、40歳で大企業を追われた女の失敗スライダー1_3


「美穂……!大丈夫……!?」

カツカツと足音がして、美穂がエントランスホールへ戻ってくるのが見えた。

慌てて駆け寄るも、彼女は下を向いたまま顔を見せようとしない。イヤな予感を覚えて肩を抱くと身体が小刻みに震えていた。

「どうしたのよ……もしかして、またあの人に何かされた!?」

先日、美穂の夫から掴まれた腕の痛みが蘇る。ねじ伏せてやろうという強い力……思い出すだけで恐怖が蘇った。

「ああ、やっぱり一人で行かせるんじゃなかった。私が横にいれば……」

カフェでの修羅場を報告すると、美穂は突然「貴之さんに直接会ってみる」と言い出した。

やめたほうがいいと必死で止めたのに彼女の意志は固く、早希が一緒に行くと言っても「二人で話したい」と断られてしまったのだ。それで仕方なくホテルまでは同行し、エントランスで待っていたのだが……やはり強引にでも同席すべきだった。

後悔とともに暴力男への嫌悪が湧き上がってくる。

「……違うの」

「え?」

しかしようやく顔を上げた美穂は、瞳に涙を溜めて口を開いた。

「貴之さんにも、幸せになって欲しいと思って……」

【写真】40歳で大企業を追われた女のリアル……
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