40歳主婦の「社会的価値」。無職のシングルマザーを救ったSNSの威力とは _img0
 

40歳という節目で、女性は自らの生き方を振り返るものではないでしょうか。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても過去は変えられず、心も身体も若い頃には戻れない。

これは立場の異なる二人の女性が、それぞれの人生を見つめ直す物語。

 


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別居夫婦の間で揺れる、息子の想い

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「パパとママ、別れようと思うの」

ダイニングデーブル越しに息子と向き合い、美穂はその小さな手をそっと握る。

「これからも、パパとはずっと別々に暮らすことになる」

思い切ってそう告げると、湊人の表情がわずかに歪んだ。

透き通るように澄んだ瞳には、まだ幼い純真な心がそのまま表れている。愛しい我が子を傷つけたくない。悲しませたくない。まだ穢れを知らない綺麗な心に、辛い記憶を刻んでしまうのが怖い。

けれど母親として、いつかはきちんと話さなくてはならない。

「みーくんがパパを大好きなのは分かってる。それに、ママもパパを嫌いになったわけじゃないの。でもね、もうパパとは一緒にいられなくなって……」

事前にいくつも言葉を用意していたはずなのに、どうしても声が詰まってしまう。

どう伝えれば理解してもらえるだろうか。

いや、まだ小学2年生の息子に大人の事情を理解させようなんてこと自体、美穂のエゴではないだろうか。

「……うん。ママ、ぼく大丈夫だよ」

けれどそんな母をいたわるように、湊人は小さく口を開いた。

「パパのことはちょっと寂しいけど……。でも、ぼく大丈夫だよ。一緒にいない方が、パパとママは仲良くできるかもしれない……よね?」

その発言に、美穂は驚きで言葉を失う。

「……ぼく、おばあちゃんの家も好きだし、学校も楽しいよ。だから……心配しないで」

湊人はたどたどしくも必死に言葉を選んでいる。そんな我が子の姿を目の当たりにすると、美穂は涙をこらえられず顔を伏せてしまった。

「……みーくん、ありがとう。みーくんはママが絶対守るから……」

なんとかそう答えたものの、そんな母の頭を、息子は大人びた様子でしばらくなで続けてくれた。
 

【写真】可愛い子供に裕福な生活……自由のない専業主婦・美穂は幸せ?
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