西園寺わかりやすいですね。元金200万円でスタートすれば、6%で12年後には400万円というわけですね。

 

加谷:そういうことです。この複利のパワーが腹落ちすると、時間というものに対する感覚も変わってきませんか? 実は、時間の概念というのは、マネーリテラシーの基本中の基本です。金利というのも要するに時間をお金に換算しているだけです。

お金と仲良くなり、投資を生活の一部にするためには、時間に対する感覚を磨くことが不可欠です。投資がうまくいっている人の世界では常識なんですよ。時間の概念をきちんと身につけられたら、投資は勝ったも同然です。

 

時間さえかければ、複利のパワーで将来リターンが期待できる。裏を返せば、将来のリターンを期待するには、今、一定の「種銭(たねせん)」を先行投資する必要があるということです。

ところが、日本人の多くはこの感覚が著しく欠如しています。というのも、目先のお金にものすごく執着する人が多い。どんなに20年後、30年後に大きく返ってくると言われても、今、目の前から1万円が消えていくことの心理的負担に耐えられないんですね。本当に驚くほど多くの人がそうなので、もはや国民性なんじゃないかという気さえしています。

加谷 珪一さん

1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済評論家として金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)「お金持ちはなぜ、「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)など。

 

『お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!』
著者:加谷珪一 プレジデント社 1500円(税別)

誰でも一財産築けて、100歳になってもお金が残るマネープランとは? 将来のお金に不安を抱える独身女性に、経済評論家であり、長年にわたる貯蓄と投資で億単位の資産を築いた著者が、「お金と仲良く」する方法を講義方式で教えます。私たちの暮らしに即したお金の貯め方・使い方はもちろん、損をしない住まい選びに、投資によるお金の増やし方まで、人生にかかわるお金の知識について幅広く網羅。読めば“将来のお金のために今やるべきこと”が明確になる一冊です!


構成/金澤英恵

・第1回「【iDeCoはやるべき?】“老後貧乏”を回避する人生100年時代のマネープランとは」>>

・第2回「夫婦の財布、小遣い、マイホーム。お金のプロが家庭の“どっち?”を解決!」>>