『テニミュ』のメンバーとはひとつの家族みたいになれた

 
 

――青木さんといえば、『仮面ライダーセイバー』の直前までミュージカル『テニスの王子様』に、過去に城田優さんも演じた青春学園(青学)中等部テニス部部長・手塚国光の役で出演していましたね。そういう意味では『テニミュ』はまさに青春だったのでは?

まさしく。本当に部活みたいな時間でしたね。最初に青学キャスト12人で合宿に行かせてもらったんですけど、その合宿が地獄だったんですよ。

――すごく厳しい身体訓練があると聞いています。中でもいちばんキツかったのは?

基礎ストレッチの中に、動物のポーズで室内1周するというトレーニングがあるんです。そのポーズが6〜7種類あるんですけど、中でもキツかったのがワニのポーズで。四つん這いになるときに、ちゃんとワニみたいに指を立ててやらなきゃいけなくて。あれはマジで死にました(笑)。

――普段使っていない筋肉を使うから大変ですよね。

そうなんです。しかもワニは姿勢がめちゃくちゃ低いから、床から10cm以上体が離れるとダメで。僕も運動神経には自信があった方なんですけど、あれはもう運動神経とか一切関係ないですね。基礎体力とメンタルをひたすら鍛えられました(笑)。

――でも、キツい練習を一緒に乗り越えた分だけ、仲間との絆は深まりそうです。

本当にその通りで。地獄の合宿から始まって卒業までの約2年、陳腐な言い方ですけど、ひとつの家族みたいになれました。いろいろ助け合えたし、喧嘩もしましたし。

――喧嘩もあったんですね。

めちゃめちゃ大喧嘩になったこともあります。
でもそうやって喧嘩をすることで、一人ひとり自分の意見が言えたし、わかり合うこともできた。特に僕は役柄が部長だったので、自然と座組みでもまとめ役というか、厳しいことを言わなきゃいけないときもあって。
それを最初は静かに聞いていた子たちが、何かのきっかけで「ワーッ」て言い合いになったり。でも誰も間違ったことを言ってるわけじゃないから。

「じゃあこれをあとでまとめよう」って言って、みんなが言い合ってるのを録音して、まとめたものをあとでLINEで共有して。
例えば「テニスのラリーしかりダンスしかり、得意不得意はあるけど、何かを教えるときに高圧的な態度で言うと、どうしても言われた方は嫌な気持ちになって余計に苦手意識が強くなるから、アドバイスをするときも対等な立場でいるように心がけよう」とか。
そうやってみんなでルールを決めていくことで、まとまりのあるチームになっていけたのかなと思います。

――2.5次元舞台に特撮と、若手俳優のステップを着々と踏んでいるように見えますが、これから俳優としてどうなっていきたいですか。

今はとにかく勉強の時期だと思っていて。
売れたいというよりも、同年代の人や10代の子、それこそ『仮面ライダーセイバー』を観ているような小さい子どもたちに「青木瞭ってすごいな。俺もやってみたいな」って影響を与えられる、人間性豊かな俳優になりたいですね。

――人間性を磨くのっていちばん難しいですよね。

めちゃめちゃ難しいですよね。母親からも「どんなに売れても、お前が偉くなったわけじゃないんだから、絶対に天狗になるな」ってずっと言われています。
うちは母親もおばあちゃんもそういうことをちゃんと言ってくれるので、何があっても調子に乗らず、真摯に、真面目に頑張っていきたいです。

――いつかものすごく有名になって、そのときめちゃくちゃ天狗になっていたら、今日のこの取材の音源を聞かせますね。

ぜひお願いします。で、「青木、お前さ」って注意してください(笑)。

取材・文/横川良明
撮影/大坪尚人
構成/片岡千晶(編集部)