親の偏見や産婦人科への行きにくさにも原因が

 

アンケートからは、新型コロナウイルス感染症拡大によってさらに「生理の貧困」が広がっていることもわかりました。

「『新型コロナウイルスの影響で、生理用品を入手するのに苦労したことがある』と答えた若者は24.6%。
『品薄で入手困難だった』という理由に次いで多かったのが、『収入が減ったから』『ほかの支出が増えたから』というもの。外出自粛や時短営業要請により、生理用品が入手できなかったという回答も寄せられました」(谷口さん)。

 


さらに「生理の貧困」の原因のひとつに、「生理用品を買って、と親に言いにくい」というものも。
ひどい生理痛や出血に悩まされているものの、「10代で産婦人科に行くなんて」と親に反対され、産婦人科に行くのが難しい学生も多くいるのです。

「こうした世代間の認識のギャップも、『生理の貧困』に深く関係があると考えています。
そもそも親に反対されなくても、産婦人科に行くことに抵抗感を感じている若者はたくさんいます。
私自身も、産婦人科に行くことに高いハードルを感じていました。
この前、意を決して行ってみたのですが、すごくお金がかかったことにビックリ。
『精神的なハードルがなかったとしても、学生や経済的に困っている方が気軽に行ける金額ではないな』と実感しました」(谷口さん)。

こうした問題は、世間全体の認識が変わっていかないと解消できるものではありません。
そのためには、生理を含めた性教育の充実が必要不可欠なのです。

次回は、日本の性教育の現状や問題点、改善策などについて、谷口さんの考えを伺います。
 

第1回「知ってた?生理用品は必需品なのに税率10%「軽減税率の対象外」のなぜ」>>


谷口歩実
1998年生まれ。大学ではジェンダー・セクシャリティ研究と教育学を学ぶ。在学中だった2020年に「#みんなの生理」を立ち上げ、共同代表に就任。現在、「生理による不平等、生理における不平等をなくす」ための活動を精力的に行っている。

取材・文/萩原はるな
構成/片岡千晶(編集部)

 
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