ワクチンはずっと打ち続けるのですか?


一青 ワクチンを打ち続けなければ、新型コロナに勝てないのですか?

山田 ウイルスの立場から考えてみましょう。変異が生まれるためには、ウイルスが増え続けないといけません。現状では、インドで一日に30万人も感染しています。こうなると、30万人の中でそれぞれウイルスが増え続けているので、そこで変異が起きることも多くなるわけです。一方で、国によっては、1日に100人くらいの感染者しかいない国もあって、そういう国では、100人の中でしかウイルスは増えません。そうすると、変異が生まれることも減りますよね。

現在のように、世界中で多くの人が感染していると、世界のどこで変異が起きてもまったく不思議ではありません。その中で、今のワクチンが効かないウイルスも出てくるでしょう。

ところが、すべての国で新規感染者がほとんどいない状態になれば、ウイルスの変異の速度も下がることになります。皆でワクチンを広げていくと、変異がなかなか生まれないということになっていきます。そうすると、ウイルスの変異発生と新しいワクチン製造とで追いかけっこをしなくてよくなるわけです。そういう意味で、素早くワクチンを広げて、一気に免疫を獲得するということが重要なのです。

 


日本のワクチン接種はなぜ遅いの?


一青 ワクチンを打ちたいけれど、なかなか打てない人がいる日本の状況について、ニューヨークにいる山田さんからはどう見えるのですか?私にはなぜこうなっているのかわからないのですけれど。

山田 まずは、ワクチンを自国で開発する会社があるかということがありますね。アメリカではファイザーの他、モデルナなど複数の会社がワクチンをつくって販売しています。一方で、日本では輸入に頼っています。

また、ワクチンの有効性を示すためには、世界中の人を集めて、ワクチンが有効かを示す研究が必要です。パンデミックが始まる前から、アメリカやイギリスでは他の病気でこうしたことが行われていました。が、日本ではそうではありませんでした。また、ワクチンに対する考え方や文化の違いもあり、アメリカやイギリスと比べると、普及のスピードが遅れてしまったというところです。

一方で、世界中で見れば、遅いというわけでもありません。医療従事者や高齢者はすでに接種が始まっています。こうした状況に達していない国はたくさんあります。世界的に見れば、早くからワクチンを獲得してきた国というふうにも見ることができるかもしれません。