多様性を実現するために必要なことは?

 

多様性を生み出す仕組みとして有性生殖が誕生しました。これで親とは違う多様な子孫をたくさん残せばいいのです。しかし、例えばヒトのような、子供を産みっぱなしにできない生き物の親は、そう単純ではありません。自分たちよりも(多様性に富んでいるという意味で)優秀な子孫が独り立ちできるようになるまでは、しっかり世話をする必要があります。つまり子育ては、遺伝的多様性と同程度に重要ということになります。

 

子供たちに教えないといけないのは、せっかく有性生殖で作った遺伝的な多様性を損なわない教育です。ヒトの場合には、多様性を「個性」と言い換えてもいいと思います。親や社会は、既存の枠に囚われないようにできるだけ多様な選択肢を与えること、つまりは単一的な尺度で評価をしないことです。

加えて、この個性を伸ばすためには親以外の大人の存在が、非常に重要になってきます。自分の子供がいなくても、自分の子供でなくても。社会の一員として教育に積極的に関わることは、親にはできない個性の実現に必須です。

他人と違うこと、違う考えを持つことをまず認めてあげないといけませんね。残念なことに日本の教育は、戦後の画一化したものに比べて良くはなっていますが、まだそこまで若者の個性に寛容ではありません。若者が自由な発想で将来のビジョンを描ける社会が、本当の意味で強い社会になります。