エアコンは空気の温度を冷やしてくれますが、エアコンの室内機に吸い込まれた空気は、熱交換機で冷やされ、空気中に含まれていた水蒸気(水)が結露して排水されます。つまりエアコン(冷房)には温度と湿度の両方を下げる働きがあるわけです。

暑さ対策のカギは「湿度」!世界的な気温上昇に日本の住宅事情にも変化が_img0
 

ここが微妙なところで、エアコンの設定温度を下げると冷房能力が上がりますから、温度も下がりますが、湿度も大きく下がります。しかし設定温度を上げると、あまり温度が下がらず、湿度も下がらないのであまり快適にはなりません。温度はあまり下げず、湿度をより下げられればよいのですが、なかなかうまい着地点が見つかりません。

 

人によってはエアコンの除湿機能をうまく使ったり、除湿機と併用するなど工夫しているようですが、こうした調整がうまくいくのかは実は家の構造にも関係します。断熱性能の高い家は、エアコンの効きが良いですから電気代をかけずに温度を下げることができますし、密閉性も高いので外の湿気を取り込まずに済みます。結果的に湿度もコントロールしやすくなります。

これから戸建住宅やマンションの購入を検討している人は、買う物件の断熱性能をよくチェックしてください。断熱性能が高い家は、冷暖房代がびっくりするほど安くなりますし、湿度をコントロールしやすくなるので快適度がまったく違います。

日本の家屋は諸外国と比較して断熱性が低いという問題があり、エネルギーを無駄に捨てていると言われます。政府は脱炭素政策を進めるため、家屋の断熱性能を向上させる政策を進める方針であり、関連するリフォームなどに補助が出る可能性が高まっています。リフォームはデザインや間取りばかりに気を取られがちですが、断熱性能向上にも目を向けた方がよいでしょう。賃貸住宅の人も、家を選ぶ際の基準としてやはり断熱性能を考えた方がよいと思います。

まずは何より体験が大事です。ネット通販では安価な湿度計を売っていますから、まずは家の中に湿度計を置いてみてはいかがでしょうか。いろいろなことに気付きがあるはずです。
 


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