太ってしまうと、「ダイエットしなくてはいけない!」と思う人は多いもの。現代は、「美しさの多様性」が建前としてあり、あちこちで叫ばれてはいますが、現実的には、「女性の体形はスリムであるほうがいい」という価値観に縛られている状況は変わっていません。
そろそろ「スリム=美しい」という固定観念から抜け出しませんか?


「スリム=美しい」に踊らされている現代人

 

国によっては、「ふくよかな女性のほうが美しい」とされる国もありますが、日本においては、スリムであることが美しいとされ、場合によっては太っていることで、差別されたり、いじめられたりすることもあります。
そもそも、なぜ、こんなに日本では、痩せていることを求められているのでしょうか?

 

個人的には、メディアによって「スリムであることが、美しさなのだ」という価値観を植え付けられてきたところもあるのではないか、と感じています。
例えば、テレビドラマや映画などの作品で、ヒロインとして活躍する女優さんは、スリムな人が多いもの。コメディ作品以外は、ぽっちゃりした女性が恋愛ドラマの主役になることはありません。
また女性向けの雑誌では、スリムなモデルさんが出ていることが多いし、「ダイエット特集」は人気です。逆に、「やせ型の人に向けて、太り方を紹介する」特集などは、あまり見かけません。
だから、多くの人が、「スリムであることが、美しくいるためには大切なことなのだ」と思い込まされているところもあるのかもしれません。

だからこそ、極端な話、もし今後、あらゆるメディアで、「これからは、ぽっちゃりした女性のほうが美しい」と言い出し、テレビドラマや映画でも、ヒロインがみんなぽっちゃりした女性が演じるようになったら、ご飯の量を増やす女性が増えてくるのではないか、と思うほどです。
それくらい、メディアの影響力は相変わらず大きいので、まずはメディアから「美しさの価値観」を変えていったほうがいいのかもしれません。

とはいえ、「細いのは良くない」「太っているほうがいい」と言いたいのではありません。「細くても、太くても、美しい」という価値観になっていく必要があるということです。それこそが「美しさの多様化」だからです。
「スリムであることだけが、美しさ」という価値観は、世の中的にいい影響を与えません。なぜなら、多くの人が痩せるために、無理なダイエットをしていることも少なくないからです。人それぞれに、自分に合った体重はあるはずなのに、それよりも痩せようとしてしまっています。

例えば、メディアに出ているような芸能人は、もともと“痩せ体質”の人でない限り、たとえ健康体であってもカメラ映りのために痩せようと、陰ながら努力していることが多いもの。
そして、そういう人たちが「美しさのお手本」となっているため、美意識の高い一般人は真似をして、同じような体形になろうとダイエットをしてしまうのです。
なかには、サラダしか食べないなど極端な食事制限をしたり、食事の代わりに栄養をサプリメントで賄おうとしたりする人もいて、ダイエットによって免疫力を低下させ、体を壊す人も少なくありません。
本来は、もっと体の声を聞いて、食事を選ぶことが大切。それなのに、「健康<美しさ」になってしまっているのです。しかも、その美しさは、“作られた価値観”かもしれないのに、です。

もちろん太りすぎの場合は、健康のために痩せたほうがいいこともあります。でも、そうではないのに、体に負担をかけてでも美しさのためにスリムになりたがる人が多い状況は、ちょっと間違っているのではないでしょうか。
「私は細い姿が好きだから、痩せたいんだ」と、個人的な美意識として痩せたいのであれば、それは本人の自由ですが、単に「スリム=美しい」という固定観念に縛られ、また人から「綺麗だ」と思われたいという願望からダイエットするのであれば、そもそも世の中の「美しさの価値観」を変えたほうがいい、と思うのです。

人によって骨格も違えば、体質も違うので、自分にとってちょうどいい体形は、人それぞれです。それなのに、ただただスリムを目指してしまうのは、“本来の自分”を否定することにもなりかねません。
自分らしさを否定していては、幸せになれないし、そもそもそれは、本人が劣っているわけではなく、単に世の中に「偏った美しさの価値観」があることが原因であるなんて、滑稽ではありませんか?
だから、世の中がよりいい方向に進むためにも、今後は、メディアが表現する「美しさの価値観」をもっと多様化したほうがいいし、私たちは、もっと自分の価値観を持ち、メディアに影響されすぎないことも大切なのかもしれません。

実際に、「ぽっちゃりならではの魅力」はあるもの。それについては、次のページで紹介します。
 

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【漫画】「太ってきたから痩せないと……」果たして本当にそうなの?
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