堂々巡りを回避するには、憎しみを捨てていくしかない

 

もちろん、苦しくなかったわけじゃないですよ。決断したあとも、本当にそれでよかったのかと悩みもしました。でも最後はやっぱり「4人で仲良く暮らしたい」って気持ちになるんです。その思いがあったから頑張ってこられたのかな。本当に憎たらしいですよね、妻をそんな気持ちにさせるなんて。付き合っていた頃も浮気サレて、悔しいし大っ嫌いって思ったけど、それでも大好きなんです。顔も見たくないって思っても、それでも一緒にいたい。幸か不幸か、私はそういう人に巡り会えたんだと思います。

 

今回の騒動で得たものもあります。それは、もうカッコいいだけの原田龍二の妻を演じなくていいということです。俳優さんって私生活を見せないほうがいいという勝手な思い込みから脱することができました。

私としても浮気がバレて恥ずかしいと思う反面、全て丸出しになったことで気が楽になりました。だって、私の中では隠しごとがなくなったわけですから。今まで夫のことを「すごくいい人ですね」って褒めてもらうたび、笑顔で頷きながらも心の底ではふつふつと込み上げるものがあって。言えないですよね、「いやいやそんなことないですよ、浮気者ですよ」なんて。噓をつくのが苦手な私としては、みなさんが彼の本当の姿を知ってくれた今のほうが気持ちが楽なんです。私はありのままでいたかったので、夫婦共にやっと本当の姿をお見せできることになってよかったと思っています。

結局のところ、愛していて別れないという選択をするのなら、憎しみを表現するより捨てていかなければいけないんですよね。浮気サレたほうがそうしていかないと、堂々巡りになってしまうから。3回の浮気サレ経験をして、私が辿り着いた答えがこれでした。すごく単純だけど、これが一番難しいんだなって今でも思っています。

もうこれ以上、新しい悟りを開かなくてすむように。願うのはそんなことばかりです。

 

 

『別れない理由』
著者:原田 愛 講談社 1430円(税込)

2019年に週刊文春が報じた俳優・原田龍二さんの不倫報道を受け、妻・原田 愛さんは何を思ったのか? 「原田、アウト」の名言誕生の裏に隠された、決して笑うことができない葛藤とは? 夫の度重なる浮気を乗り越えてきた原田 愛さんが赤裸々に綴る、夫婦が30年かけて培った深い愛情、そして家族の絆に、「夫婦とは何か?」を考えるヒントがちりばめられています。


構成/金澤英恵