年齢も育った環境もまったく違うのに、「推し活」をきっかけに友達に……『メタモルフォーゼの縁側』は、そんな経験を持つ人に、ぜひ見てもらいたい映画です。大好きな「BLマンガ」をきっかけに友達になるのは、17歳のうららと、75歳の雪。その友情で生き生きと動き始める二人の人生は、「好き」でつながることの楽しさに満ちています。演じているのは、日本映画界でそれぞれの世代を代表する名俳優、芦田愛菜さんと宮本信子さん。縁側に並んで座るように、俳優として同じ方向を見つめるおふたりが、それぞれ「ハマった」ものとはなんでしょうか?

 


自分の「好き」を肯定してもらえると、自分が認めてもらえた気持ちになる


宮本信子さん(以下、宮本):私はものごとにあまりハマらないほうなんですが、韓国ドラマの『トンイ』にはハマりました。韓国ドラマ自体はそんなに見てはいないんだけれど、その作品だけ。主人公のトンイも魅力的だし、王様を演じた俳優チ・ジニさんも素敵。品格があって、とぼけた芝居も上手くて。シチュエーションから何からよく出てきてて、次から次へと見たくなってしまいました。それこそBLにハマった雪さんみたいに。

芦田愛菜さん(以下、芦田):私は今は『アメリカズ・ゴット・タレント』という海外のオーディション番組にハマっています。「自分の好きなこと」を披露する場があって、審査員の方が「ここはあなたの時間だから好きに使っていい、もっと堂々とやりなさい」と後押ししてくれる雰囲気とか、会場全体が「いいものはいい」とスタンディングオベーションしてくれたりするのを見ていて、泣きそうになったりすることも。私もうららと同じ、好きになるととことんハマるタイプなんですが、でもそういう姿を誰かに見せるのって、自分自身を披露するみたいでちょっと恥ずかしいなと思ったりもして。だからうららが雪さんに作品を紹介する時に悩んでいた気持ちもわかるし、同時に誰かに自分の「好き」を肯定してもらえると、自分が認めてもらえた気持ちになるんだなって。そんなふうに思いながら、うららを演じていました。

 

宮本:うららさんの役は愛菜ちゃんにぴったりでしたし、7才の時に孫の役で共演した関係性があったから、なんの不安もなく、いい作品になるだろうなと思っていました。ただ二人の芝居が多いので、ともかくそれを頑張りたいなと。

 

芦田:宮本さんにお芝居を引き出していただいたと思います。頭で考えたお芝居でなく、自然に身体が動き出すというか。「もっとこうしたい」と考えなくてもうららとして行動できたというか。毎日お芝居するのがすごく楽しかったです。

次ページ▶︎ お二人が印象に残ったいいシーンとは?

芦田愛菜さん&宮本信子さん。仲睦まじい二人に心温まる
▼右にスワイプしてください▼