ベトナムの縫製工場と電話で交渉
思えば学生時代、一枚布を使って好きなものを作る、という授業にとても没頭した記憶があり、何かを作るのが好きだったんでしょう。
いろいろな商品を見たり試したりするのですが、「ここにもうちょっと素敵なレースがあればなあ」「可愛いけど、もう少し動きやすければなあ」と考えるうちに、もう作ったほうが早いのでは? と思うようになりました。
そこでスポーツブラを購入して、まずは自分でレースをつけてみました。見た目はちょっと可愛くなりましたが、求めるイメージとはまだ違います。
休日はショッピングモールに行き、ひたすらブラジャーの観察。自分でも試しに作ってみて、時々、息抜きに自然を体感したくて山登り。数ヵ月はそんなふうに夢中でリサーチと試作を繰り返しました。友達にもたくさんヒアリングしましたね。
仕事は相変わらず忙しく、平日は深夜まで会社にいるような生活です。おしゃれの楽しみがなく、だからこそ下着はテンションの上がる可愛いものをつけたいと思っていました。
そのうち、ブラのことで悩んでいる人はかなり多いということに気づき、これをある程度の数を作ったら必要な人に届くのかなと考えます。そこで下着の縫製工場を調べて、訊いてみるようになりました。
ところが国内の工場では、いきなり個人の私が数十着で制作をお願いしても料金の折り合いがつくはずもなく、断念。次に考えたのは海外の縫製工場でした。ネットで調べ、会社のお昼休みに給湯室で片っ端から電話をします。
素人の思いつきでも、行動すれば形になるものですね。100着単位で、1着4000円くらいで作ってくれるベトナムの工場が見つかりました。思い切ってオーダー。夢の下着への第一歩です。
とはいっても、海を隔てたやりとりですから、資材やカラーは最終的には先方のセンスにかかってきます。できる限りイメージを共有し、ついに段ボールに念願のファーストサンプルが詰まって到着。箱を開けるときのドキドキは今でも鮮明です。
……しかしそれは、第一の挫折体験でもありました。
次週予告サンプルを手にとって思わず呆然……。 次回は小島さんが、本格的にブラジャーの生産に乗り出した経緯を伺います。
小島未紅さん立教大学法学部卒。新卒で大手SIer企業に入社、SEとしてキャリアをスタート。自身の悩みから、ワイヤーがなく、デザイン性の高いブラジャーを作りたいと思い、会社員のハードワークの傍ら開発をスタート。株式会社ashlynを設立。2017年、日本で初めてのノンワイヤーブラ専門ブランド”BELLE MACARON”をプロデュース。2018年11月に『24hブラ』を発売。2021年7月には日商2000万円を達成。
▶ウェブサイト https://www.ashlyn.co.jp/
▶Twitter @milkonPANDA
▶Instagram @belle_macaron
取材・文/佐野倫子
構成/山本理沙
写真提供/小島未紅さん
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