「あなたの結婚生活は、幸せですか?」

この質問に躊躇いなく「はい」と答えられる夫婦はどれだけいるでしょう。
おそらく多くの方が即答はできず、言葉を濁したり、あるいは驚くべき夫婦事情を口にすることもあります。

「婚姻制度」が定められたのは、実は120年以上前の明治時代。社会も価値観も変化していく中、多くの夫婦が様々な問題を抱えているのが現実です。

この連載では、現代の夫婦が抱える問題について取材。結婚生活は山あり谷あり。そのとき夫婦は、どのような選択をするのでしょうか?

 

今回お話を伺ったのは、ご主人との不仲が原因で別居をし、一時は本気で離婚を考えたというアキコさん。しかし1年以上の別居を経て、今は元の生活に戻ったといいます。

当時の状況、心境の変化などを伺ってみました。

取材者プロフィールアキコさん(仮名)43歳
職業:ライター
家族構成:2歳上の夫、6歳の娘、ポメラニアン

 

 

在宅勤務の夫は「別人」


「不仲の1番の原因は、コロナ禍で夫が完全に在宅勤務になり、一緒に過ごす時間が増えたことです」

そう語り始めたアキコさんは、お世辞ではなく、かなりの美人。スラリとした長身にロングの黒髪、ファッションもシンプルながらに明るい色使いやジュエリーをおしゃれに身につけていました。

美人特有のクールな雰囲気はありつつも、笑顔はお茶目な印象で、夫婦関係に苦労したようには見えません。

しかしながら、総合商社に務めるご主人が在宅勤務となってから、夫婦仲は修復不可能と思えるほど崩壊したそうです。

「10年近く夫婦をしていたのに、在宅勤務の夫は別人のように感じました。激務な部署にいることはわかっていましたが、家の中で常にピリピリしていたんです。険しい顔で溜息をついたり、テレカンで大きな声を出す彼も初めて見ました。慣れない環境でトラブルも多かったようで、彼の仕事のストレスがそのまま家庭に持ち込まれて戸惑いました」

また同時に、娘さんの通う幼稚園もコロナの影響で休園になり、自宅保育を余儀なくされてしまった。当時アキコさんは専業主婦でしたが、家庭内はてんやわんやだったようです。

「今となってはだんだん忘れてしまいましたが、あの頃は子どもを連れて公園へ行くのすら躊躇われましたよね。遊具も使用禁止でしたし。商業施設も休みで、スーパーすらビニール手袋をしてなるべく短時間で買い物を済ませて......あれだけ外の世界から遮断されて狭い家に篭るようになったら、余裕がなくなるのは仕方なかったのかもしれません」

仕事でストレスを抱えるご主人、体力を持て余した小さな娘さん、そして家事が膨大に増えたアキコさん......。

家族全員が息苦しさを感じる環境で、夫婦関係が崩壊するのは必然でした。