法律というのは、私たちの生活になくてはならないものですが、同時に極めて恐ろしい存在でもあります。法律をひとつ作るだけで、特定の階層や人種、グループに属する人たちの権利を侵害することなど、いとも簡単に実現できてしまいます。

現在でも、日本では女性やLGBT(性的少数者)、一部の子供など、十分な権利が保証されていない人たちがたくさんいます。状況を悪化させるのも、改善するのもすべて法律次第であり、政治家というのは、人の生き方を変える絶大な権力を持っています。こうした現実を考えた場合、立候補している政治家が、どのような価値観を持ち、どのような生き方をしているのかについて知ることができなければ、正しく選ぶことなどできるわけがありません。

7月29日、霊感商法の被害者支援に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の弁護士らが会見。「旧統一教会と政治家のつながりは明らか」と言及した。写真:つのだよしお/アフロ

近年 芸能人の不倫など、私生活に関して過度なバッシングが行われるケースが増えており、これは決して良い風潮とは言えないでしょう。政治家にもプライベートはありますから、過度に私生活を詮索する必要はありませんが、先ほどから説明している通り、政治家の場合、一般人とは異なる基準が必要です。

 

結婚のあり方や恋愛のあり方、外国との関わり方というのは、国家によって大きく異なりますし、これらに関する法律が恣意的に運用されれば、国民の生命や財産に関して重大な問題を引き起こします。

政治家がどのような価値観を持っているのか知る事は重要なことですし、その重要性についてしっかり認識している政治家であれば、適切な範囲において、自身の価値観や人生観、あるいは、誰から支援を受けているのかなど、人間関係全般について誠実に説明しようとするはずです。

しかしながら、政治家個人の倫理感だけに頼ることには限界がありますから、最終的には、自らの思想をしっかり表明できない人には投票しないという形で、私たち国民が審判を下していくしか事態を改善する方法はありません。

信教の自由という原理原則を維持しつつ、政治と宗教の関係を適正化するには、こうした透明性を確保することが何よりも重要です。そして、政治家に対して透明性の確保を促すことができるのは、私たち有権者だけです。
 

 


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