若いうちは一見「女子の方がオイシイ」ように思えるが……


若い世代に「もう男女差別はない」「むしろ女性が優遇されている」と考える人が珍しくないのは、男性が割を食っているように感じるからでしょう。20代までは女性も「女子の方がオイシイ」と考えがちです。働き始めたばかりの頃、私もそう思っていました。目の前の風景だけ見て構造を視野に入れなければ、確かに若者の目には女性の方が得をしているように見えるでしょう。

 

若い女性は権限を持つおじさんたちに可愛がられ、世間からも何かと注目されるけれど、若い男性はオトコ社会のヒエラルキーの最下層に位置付けられて下働きをさせられ、理不尽な上下関係に耐えることを求められます。女性は、運良く稼ぎのいい男性と結婚すれば仕事を辞められる(今やその可能性は限りなく低いですが)のに、男性は一生働き続けねばならないとされています。男性にそういう生き方を強いる世の中を恨んでも、現状は変えられない。だから「女はずるいよな」と目の前の女性に矛先が向かうのです。

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けれど、敵は女性ではありません。女性は若いうちしかチャンスがなく、男性が若い時には不遇なのは、同じ構造ゆえです。権限が集中する熟年男性たちにとって快適な、おじさんの内輪の理屈で全てが決まる構造。いわゆる「弁えている人」しか生き残れない社会ですね。得をしているのは女性ではなく、 “若いお姉ちゃん”を身近に置いて、若い男をこき使い、自分に都合のいい決定を下せる意志決定層。そういう組織がまだ幅を利かせていることが問題なのです。なのに、男女の対立になってしまう。実に不幸なことです。