ペットと被災したらどうすればいい?


私の場合、災害にあったら!? にゃんずをキャリーバッグに収め、避難所まで辿り着くのは至難の業……。そんな不安を福原さんにぶつけました。

「そもそも避難所に行く選択はマストではありません。災害というと、みなさん真っ先に大地震や津波を想像されて、「避難所ってどうやって行くのですか?」「避難所はどういうところですか?」という質問は多いです。
約2年前のデータですが、都内の避難所の収容可能人数は約320万人。都内の人口は現在、約1400万人弱なので、3分の1程度の方しか入れません。ほかに避難する場所のない方を受け入れるので、ペットの優先順位は残念ながら低いです。ペットと一緒に避難できた場合でも、ペットのため物はほぼ用意されていませんので、最低でも1、2日分の餌や水は持参しましょう。基本は、被災時は自宅で過ごすと心得ての準備が必要です」

災害といえば大規模なイメージでしたが、実際は地震、台風、水害など、中小規模ものが多数。日々の生活で起きる「災い」への備えが安心につながります。

<自宅でしておきたいペットとの被災へ備え>
・最低でも1週間分の食料と水はストックしておくペット用品は有事では入手困難が予測されるので、余裕をもって猫砂やペット用トイレシートなどを備えておきたい。

・早めに避難所以外の選択肢を探しておく台風、豪雨などの情報を得たら、あらかじめ遠くの知人のお家にペットと一緒に避難するなど手を打つ。

・停電対策自宅での被災生活を続けるには灯りは大事。ペットのお世話や安全確保にも重要です。
ソーラー充電器、バッテリー内蔵で消えない電球などを揃えておくのが有効。

・飼主情報が登録されたがマイクロチップ装着(6月から義務化され、一般的なマイクロチップ装着費用は5000円)
窓からの脱走や突然の災害などで驚いて逃げてしまうときや、迷子や事故で保護されたときのために、連絡先を書いた迷子札やマイクロチップなどで身元表示をしておく。

自宅にも避難所にもいられない場合の奥の手を福原さんが教えてくれました。
「それは公園にテントをはることです。たくさんの人がいる避難所より、人間もペットも快適かもしれません」

「公園にテント!」と、思わず膝を打ちました。最近はソロキャンがブームなので、キャンプ用品をお持ちの方は、心のお守りにしておきたいアイデアではないでしょうか。

日頃からやっておきたいペットの訓練


キャリーバッグに入ってもらうのが難しい我が家のにゃんずのような子たちは、事前にならしておく必要があると福原さん。

・普段から安全に隠れる場所として、お部屋にキャリーバックを置いておく。
・病気の時以外に、健康診断で病院に連れていく回数を増やすなど、キャリーバッグに入っての移動に慣らしておく。
・名前を読んだらお返事したり、近寄ってくるような練習。震災で迷子になったり、脱走して隠れてしまった時に見つけ出せる可能性をあげることに!

大震災をきっかけに、いろいろな練習をはじめました。

実は私も東日本大震災の直後からそういった練習をはじめました。にゃんずも、ほんの少しですが、慣れてきたような気がします。

名前を呼んだら来ることも大切。キャリーバッグ未経験の子は、要練習です。
 

突然に備えて、ペット預かり先をみつけておこう


災害時の備えは脆弱な私ですが、急病、親の介護などの「もしも」の備えとして、同じ境遇の猫飼い仲間で「猫互助会」を結成しています。合鍵をたくし、仕事、出張、急病、親の看護や介護などの際に、何かあれば「お互いさま」と助け合うグループです。猫のお世話はもちろん、部屋の掃除、ベランダの植物への水やり、さらに緊急入院の際に自宅から必要なものを病室に届けてくれ、先日のコロナ感染の自宅療養期間も薬や食料や猫餌を送ってくれました。

猫互助会の話を私がすると、「合鍵を預けるほど信頼できる人はそうはいない……」との声を多く伺います。確かに、みなさん、置かれた状況が違います。自然災害など突発的な事態はありますが、それでも入院や介護などで不在になる場合を想定して、それぞれの環境に合わせペットのライフラインを考えておくべきです。

・信頼できるペットシッターさんとつながっておくお盆や年末年始などの繁忙期は、ペットシッターさんのスケジュールを押さえるのは超激戦。入院・介護など予定が決まっていれば早めに予約をすること。

・ペットホテルを探しておく自分で事前にネット・電話帳・情報誌などでサービス内容・料金などを調べておきましょう。

・リアルにお願いできる一時的な預かり先をみつけておく親戚・ご近所・友人など普段からコミュニケーションを積極的にとり、いざという時にペットのお世話を頼める関係を築いておくのがやはり理想的です。

最近はペットシッターとのマッチングアプリとなど新サービスが多数ありますが、やはり大切な家族の命を預けるとなると超慎重になってしまいます。どんな情報も鵜呑みにせず、自分で確認して、信頼できるかを見極めるのが大切です。ネットの先に真実はないと肝に銘じ、サービス内容を確かめ、面会してシッターさんの人となりを判断しましょう。
ちなみに、私は地域でも、できる限り日頃のリアルに顔がみえる「お互いさま」と助け合えるつながりを築くことも心掛けるようになりました。プライバシー保護を重要視する時代でも、せめて隣人、できればご近所さんと挨拶するぐらいの関係性があれば、災害時にも助け合うことができます。プラス、私は万が一の場合、大切なペットが自宅に取り残されないように、いつも玄関やドアに「ペットがいます」というステッカーを貼っています。自宅以外で倒れた時のために持ち歩く緊急カードにも猫達が自宅いることを書き添えています。