先月9日にエリザベス女王が逝去。その後、国葬に至るまでの英国王室の儀式や伝統に世界中が注目し、改めて荘厳さを感じた方が多かったようですね。その中で、意外なロイヤルメンバーが実は注目されていたことにも驚いた次第。それがアン王女。エリザベス女王の第二子で唯一の娘、兄・チャールズ国王と2歳差の現在72歳です。
実は私、アン王女とご夫妻揃って目の前でお会いしたことがあり、しかも現夫ティモシー・ローレンス卿に至っては軽い会話も……。ご夫妻から、凛とした気品と品格を肌で実感し、緊張したことを今でも覚えています。

アン王女が誕生時、君主はジョージ6世。国王の孫という立場で、かつ女児の場合には、本来プリンセスや妃殿下の称号は与えられませんが、既にエリザベス王女が女王となることが確実であったため、特旨措置により、生まれながらにして、プリンセス、そして妃殿下の称号を得ていました。それは、君主の子女として、英国軍を率いる存在を意味しており、それゆえに国葬での、あのファッションへと繋がるのです。

意外と知らなかったアン王女の事実を6つのキーで解説します。まずは、普通にビックリ&感心した?! こちらです。
 

 

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エリザベス女王の葬儀では、棺の後ろをひたすらきれいに並列行進!

2022年9月14日、エリザベス女王の棺を公開安置のため。バッキンガム宮殿から議事堂へ。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

私の中ではもはや当たり前に見慣れていた光景でしたが、「意外!」と言われて気づいたのは、王室の高位メンバーの方々が公道を行進するということ。しかも距離として、バッキンガムパレスから、遺体の公開安置が行われるウェストミンスター・ホールまでは約1.8km、時間にすれば約40分。棺の後ろを、背筋を伸ばし、足並みや歩幅も揃え、きれいに並列して歩くお姿は見事でした。

1997年のダイアナ元妃の国葬の際もでしたが、棺の後ろをロイヤルメンバーが並列することは伝統的なこと。とはいえ、基本的にその場合のメンバーは男性です。カミラ王妃やキャサリン妃など、王妃、皇太子妃といった高位メンバーのご夫人は、お車で列の最後から棺をおくられていました。
チャールズ国王を筆頭に、英国軍を率いる男性高位メンバーや近親の王族の方々がともに行進。軍人ならばそりゃあ行進にも慣れている……ともいえますが、そうでない方々も一緒。しかも新国王チャールズ3世に至っては、御歳73歳!

私はかつて英国にも住んだことがあり、そして日々王室の皆様を追っていて感じますが、とにかくよく歩く英国人、そして王室の皆様も!!! チャールズ国王付きのフォトグラファーも以前、インタビューした際に「皇太子(当時)はものすごく早歩きでスタスタ行かれるので、ついていくのがやっとなんです(笑)」と仰っていたほど。

エリザベス女王も生前、お仕事の合間に愛犬の散歩をされていましたが、自然に溢れた広大な敷地に住むということ自体、日ごろから歩行で足腰が鍛えられる環境なのだろうと思うのであります。


アン王女はなぜ男性と同じユニフォーム姿?

2022年9月19日 ウェストミンスター寺院で国葬。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

こちらは5日後に行われた、エリザベス女王の国葬時のチャールズ国王とアン王女兄妹です。この時も同様に、お2人は喪に際した軍服をお召しになっています。初めにお伝えしたように、女王の直系の娘で誕生と同時にプリンセス、妃殿下の称号を授けられたアン王女は、他のご兄弟同様に英国軍に所属。

1974年から1993年に英国軍として統合されるまで、王立婦人海軍司令官として従事。2012年からは海軍将官として、さらに2020年の70歳の記念年には空・陸軍の将官として昇格。れっきとした英国軍人なのです。

それゆえに、国葬など英国の重要行事でアン王女がユニフォーム姿であるのは必然です。そしてあくまでも、現役で公務を行う王室メンバーのみ。ハリー王子とアンドリュー王子が、ユニフォームではなくモーニング姿、また敬礼ではなく、頭を下げるだけのお辞儀であったことは、その理由からでした。

ちなみに、アン王女の胸には、エリザベス女王から、功績が認められた女性王族に与えられるロイヤルヴィクトリア勲章勲一等(GCVO)、ガーター勲章(LG)、シッスル勲章(LT)の記章がつけられています。

男女が揃う王室行事では、男性王族より下位のお立場となるアン王女ですが、女性のみの行事においては、生前女王の次席。ということで、現在はトップということに。1987年に女王から、“プリンセス・ロイヤル”という称号を授与されたアン王女。“ロイヤル”の名を配された想いが示すように、今後、兄である国王をそばで支えつつ、女王の想いを引き継がれていくことは間違いありません。


王室初のオリンピック出場! アン王女は乗馬のエキスパート

1976年7月、英国チーム・メンバーとして、モントリオール五輪に出場のアン王女。写真:山田真市/アフロ

アン王女といえば、母・エリザベス女王と同様、大変な馬好き。というだけでなく、なんと1976年7月にはモントリオール五輪に、英国チームメンバーとして愛馬グッドウィルと3日間に及ぶ馬術競技に出場されたほどの腕! いわば乗馬のエキスパートなんです。その際にはエリザベス女王も、3人の息子達と一緒にカナダまで応援に。愛犬家で馬をこよなく愛されていた女王のDNAを受け継ぎ、王室初のオリンピック参加を果たされたことを、どれほどお喜びになったかが伺えます。

更に、その血は次世代へ引き継がれ、アン王女の一人娘、ザラ・ティンダルさんは2012年のロンドン五輪に出場。見事英国チームは銀メダルを獲得! という快挙。その際にメダル授与をされたのも、母アン王女でした。いうまでもなく、女王を含め皆様が感無量の瞬間だったことでしょう。

公務を通じてもスポーツに対する熱心な支援は続き、英国オリンピック委員会のプレジデント、そして国際オリンピック委員会のメンバーとして、現在まで活動をされています。

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