『魔王』(2008)
 

今から15年前の2008年、TBS金曜22時枠は連続で嵐のメンバー主演の復讐劇でした。

 

大野智さんと生田斗真さんW主演の『魔王』は、前年に韓国で放送されたドラマのリメイク。弁護士・成瀬領(大野智)が、警察官であり、中学生のときに弟・英雄を殺した芹沢(生田斗真)を追いつめていきます。仲の良かった弟・英雄が殺され、葬儀の直後に母も心臓発作で急死し絶望した成瀬からすると、権力ある父親が雇った弁護士のおかげで無実となった芹沢や事実を隠したその周りの人たちは絶対に許せない相手でした。

復讐の方法や展開が、今回ご紹介する作品の中でいちばん怖いです。芹沢の周りの人々が、一人ずつ死んでいきますが、成瀬は直接手を下さずそうなるように仕向けているところがまた恐ろしい。普段は温厚で弱い人の味方である成瀬が、一人になったときに怖い無表情に変わる表情の変化にも注目です。陰のある大野くんの表情にはどことなく色気もあってたまりません。彼の最終的な目的とは何なのか、観ているほうも気になります。

注目したいのが、登場人物たちの罪の意識や苦悩。復讐を遂行する成瀬は自分の想定外のところで予定外の被害者が出たことで、復讐心と罪悪感の間で苦悩します。芹沢もまた、ずっと英雄を殺してしまったことに罪悪感を感じていました。他の作品の悪人たちとは違って、罪悪感に苦しむ人が多いところもこの作品の特徴であり、悲しいところと言っていいかもしれません。芹沢の兄・典良を劇団ひとりさん、芹沢の友人・葛西を田中圭さんが演じているところも注目です。

嵐が担当する主題歌「truth」もかっこいいメロディーとドラマティックな展開、この曲に限りませんが大野くんの歌唱力とダンスが素晴らしい。

結末は本当につらいのですが、素晴らしい作品であることは間違いないので、機会があればぜひ観ていただきたい作品です。また1話にはゲストでニノこと二宮和也さんが出ているところも注目していただきたいポイント。大野くんとニノが対峙するシーンが観られます。