葬儀のお布施の内訳は「読経料+戒名料」


ご友人の啓子さんが、その金額に驚いたというお布施。主に葬儀や四十九日法要、法事などの際に僧侶に渡すお礼で、「読経料」と「戒名料」の2つを合わせてお布施と呼びます。包む金額は、お通夜や葬儀をお願いに伺った時にお寺から指定されるので、通夜の時など早めに渡すのが良いでしょう。

そもそも戒名とは、仏様の世界(あの世)における故人の新しい名前のこと。「死後、極楽浄土で仏の弟子になった」という印として授かるもので、迷うことなく極楽浄土へ行くためのものなのです。

戒名は、基本的には先祖代々のお墓のあるお寺に授けてもらい、葬儀の際に白木位牌(しらきいはい)という仮位牌に書いて祭壇に安置します。葬儀自体は、緊急や遠方などの事情でそのお寺に依頼できない場合、同宗派の別のお寺に依頼することもできます。ですが戒名だけは、先祖代々のお寺(菩提寺=ぼだいじ)に依頼しなければなりません。

日本の葬儀の9割は仏式です。仏式の葬儀を行う上で戒名は必ず必要で、いらないということはできません。もし先祖代々のお墓がなく、どうしてもいらないという方は、仏教以外でも納骨できる納骨堂や公営の墓地を視野に入れてみてください。


戒名は高額になる場合も!?


「位の高い戒名を授けてもらうためには、高額のお布施をしなければならない」という話を聞いたことはありませんか? 亡くなった後もお金に左右されるなんて何か変、と感じる方もいるかもしれません。ランクがあるのは、戒名によってご先祖の功績がわかるようにするためとのこと。

戒名料はランクが高いほど高額で、お寺によって金額が異なることもあります。同じランクであっても、このお寺は5万円、別のお寺では50万円、というのはよくある話です。金額は寺が決めているので従うしかほかなく、菩提寺があれば、その寺が決めている金額をお布施として渡すことになります。

お布施の相場は宗派によっても異なるので、まずはご家庭の宗派を確認してみてください。料金はおおよそ下の表の通りです。

 


戒名のランクの選び方


実は私・渋澤の実家も、初めてお墓を作った時にこの戒名のランクを寺から尋ねられました。特に故人の功績などは関係なく、「一番下だと虐げられるとかわいそうだから」などの理由で比較的高いランクを選びましたが、その後何人亡くなってもそのランクは引き継がれています。母は「今思えば一番下でも良かった……」と言っていて、そのくらいのものなのです。ただし戒名のランクの選び方には若干の注意点もあるので覚えておいてください。

 

日本で最も多いとされるのは、一番低いランクの「信士・信女」です。新たにお墓を建立する場合は自由に決められるので、ご自身の家庭で出せる範囲で検討してみてください。

 

安くする方法は?


ちなみに、戒名は僧侶に名付けてもらわなければいけないといった決まりはありません。自分で生前に付けることも可能で、その場合は費用がかかりません。

ただし菩提寺がある場合は僧侶が付けるのが一般的で、自分で付けてしまうと「納骨を許可しない」というトラブルも出ています。どうしても自分で戒名を付けたいのであれば、先に菩提寺に相談をして許可を取るか、宗教を問わない霊園などに納骨することになります。

最近は、オンラインで戒名の作成を依頼することもできるようになりました。費用相場も一般的には低く抑えられています。

【主なオンライン戒名サービス】① お坊さん.JP
よりそうお坊さん便
てらくる

菩提寺のある方は、「親が亡くなったので納骨します。葬儀はすでに終わって戒名はオンラインで付けました」というのは認められません。オンラインのサービスを利用する前に、まずは菩提寺に相談しましょう。

お寺との付き合いは、自分ひとりで簡単に決められるものではありません。以前こちらの連載で取り上げた墓じまいのこともありますし、そのあたりのことは親が元気なうちから話しておきたいものです。


写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
編集/佐野倫子

 

 


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