――発信を始めた頃から「言語化力」に自信はありましたか?

キャリアに悩んだ頃、同世代の女性が集うコミュニティに参加して「考えていることを言葉にしないと、自分が何を考えているかわからないと思うよ」と言われブログを書くことになったんです。
でも私、自分のことは300字も書けなくて。仕事の文章は沢山書いていたのにとびっくりしました。

でも書けないってことが事実なんですよね。書けないのは考えきれていないからと痛感し、そこから少しずつ言葉を長くすることができるようになっていきました。

 

――「言葉にする力」を磨くために、意識的にしていることはありますか?

言葉にする力をつけたなと思うのは、会社に行った、何を買った、とその日起きたことを「事実だけ3行だけでいいから書く」日記です。

続けているのは「書こう」と思うだけで同時に色んなことを思い出すからなんです。怒られたと書くだけでもそのシチュエーションを思い出していやな気持ちになったり、何かを買ったと書くことで「次どこで着よう」「あそこであれを食べよう」と様々なことが一緒に浮かぶ。
そこから書きたいことと書きたくないこと、何を出したくて、何を出したくないのかという自分の本心が見えてきます。書いているのは事実だけでも、「書きたいことと書きたくないことの線引き」が上手くなっていく。
たぶん書けない人って頭の中にもやもやしていることの線引きができなくて言葉が出てこないんだと思うんです。私も300字を書くのに苦労していた頃はそうでした。

自分の内側にあるものを一回外に出すと自分の言葉が見えます。
たとえば「私、会社のストッキングが破れて嫌だと毎回書いている。つまりストッキングを履きたくないんだ」とわかったとします。まずは自分の問題意識が見えてくる。
そこから「なぜ私はストッキングを履きたくないのか」と深掘りしていくんです。「夜脚が冷えていて深く眠れないから」とわかったら、さらに「なぜ私は夜眠れないような恰好をしなくてはいけないのか?」と考えてみる。働き方や仕事内容や自分の見栄の問題なのか、スーツを着なくてはいけないという自身の思い込みなのか。色々見えてきますよね。
そこで初めて「自分の考え」がつかめると思うんです。

3行に食べたものだけ書く人、仕事のことだけ書く人もいれば、毎日着た服のコーディネートを書く人もいる。それこそが、その人の興味関心なんですよね。
小さいことのように思えても、まずは書いてみる、続けてみるというのは大きいと思います。