ーーデビュー6年目で、連ドラ初主演。今までの作品と違うなと感じる部分や、意識していることはありますか?

『野球部に花束を』(2022年公開)という映画で、初めて実写での主演を務めた時の話になってしまうんですが、飯塚(健)監督に、作品の頭を張るというのはどういうことかを教わりました。俳優としてではなくて、俳優部としてのスタンスをゼロから叩き込まれたんです。それはつまり、自分のプライベートと、役者・醍醐虎汰朗のあり方は別でいいんじゃないか、という話でした。

ーーパブリックである仕事と、プライベートを切り離していいという考え方ですね。

だからこそ、現場にいるときは、自分が何をすべきかを常に考えろとおっしゃる方でした。『野球部に花束を』は真冬の撮影でしたが、ベンチコートを一切着ないで半袖でいたりしましたね。脱いだり着たりする時間が無駄だな、座長が1分1秒を大事にすることで周りの士気が上がればいいな、と思ったんです。ちょっとやりすぎだったかなとは思うんですけど。役者をやっているとどうしてもちやほやされがちじゃないですか。メイクをしていただいたり、日傘を差していただいたり。それに慣れちゃいけないなと思うんです。僕はまだ22歳ですし。

 

ドラマの主演ということは、キャリアも年齢も浅い僕が、多くの方々がいる現場の頭を張るわけで。そこで自分に何ができるかを考えたときに、唯一できるのは明るく居続けることだなと思ったんです。キツい時も「しんどい」って言葉に出さないとか、ネガティブな発言を禁止するとか。せめてポジティブに明るい現場づくりをやろう、あとは日々勉強しようというスタンスで、今のドラマに入っています。

 

ーー22歳でそこまで考えられるって、すごいですねえ……(ため息)。役者として経験値が上がっていく中で、自分の武器みたいなものを考えたりもしますか?

同世代がたくさんいる中で戦っていかなきゃいけないなという意識は、少し前から芽生え始めました。当然差別化みたいなものもしないといけないなとなったときに、僕は多分、芝居を感性でやれるみたいな、秀でているタイプではないので、人柄を磨いていきたいなと。実は仕事が決まり始めて調子に乗っていた時期もありましたし、それが原因で10代の頃は共演者に嫌われたこともありました。でもここ1、2年、自分のあり方をしっかり決めてからは、これで間違ってないんじゃないかなと思いながら、日々学びたいというスタンスで、毎現場毎現場にいるかもしれないです。