登録者数36万人! 人気のYouTubeチャンネルを主宰するパリ在住エッセイスト・井筒麻三子さんが、待望の初書籍『GORO GORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』を4月14日に刊行。今回新刊からご紹介するのは、お酒大好きな井筒さんが憧れるフランスの“アペロ”という習慣についてです。

 
『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』(講談社) 著/井筒麻三子  写真/Yas

アペロはフランス語のアペリティフの略で食前酒を意味しますが、夕食前にお酒と軽いおつまみを楽しみながら過ごす時間のことでもあります。日本でもだいぶ知られるようになったと聞きましたが、フランス人はとにかくこのアペロが大好きです。

カフェなどで、一人でアペロを楽しんでいるマダムを見かけると、「素敵……! 私もいつかそういうのが楽しめるようになりたい〜」と思うのですが、まだちょっとその境地には辿り着けていません。

まず日本人的にびっくりするのが、どこのおうちにも大体“アペリティフ専用棚”みたいなものがあること。食器棚の一部だったり、アペリティフのためのワゴンだったり、スタイルはさまざまですが、とにかく多くのおうちでこのアペリティフコーナーを見かけます。

ここにセットされているのは、食前酒とグラス類各種。好みにもよりますが、食前酒はカシス、ミラベル、リンゴなどフルーツのリキュールや、フランス人の大好きなアニスの香りのパスティス、ポルト酒などの瓶がずらっと鎮座。そして大人数でも対応できるくらいの数のショットグラスやシェリーグラスなどが揃えられていることが多いです。

私がこのアペロを初めて体験したのは、パリに来る前にホームステイしたアンジェのおうちでした。夕方駅でピックアップしてもらい、家に到着すると、マダムから言われたのが「荷物を解いたらアペロにしましょう」。

この日は私のためにと、普段より力を入れたアペロを用意してくれていたのだと思います。リビングルームに行くとソファ席のテーブル上に、チーズを入れたマッシュルームや一口パイなどのフィンガーフードが置いてあり、ムッシューは棚の中からいくつも瓶を出して中身を説明してくれました。「フルーツのリキュールをシャンパンと割っても美味しいよ」とのことで、カシスを入れてもらって飲んだ覚えがあります。

友人がアペロ用に持ってきてくれたボトルには、私の似顔絵が!「マミコさんちに持っていくボトルを、夫が間違えて飲んじゃわないよう貼っておいた」のだそう。ありがたや〜。(写真/井筒さん)

その後も時折、マダムとムッシューと3人でアペロをしましたが、フィンガーフードはキューブチーズやオリーブ、スナック菓子などになり、食前酒もロックにするかストレート。かなり普通の「おやつ&食前酒」といった感じの内容に変わりましたが、場所は常にダイニングテーブルではなくソファ席。

つまみを食べ、食前酒を飲みながら、その日あったことから最近話題のニュースについてまで話をするうちに、アペロとはフランス人にとって、ゆったり寛ぎながら皆とコミュニケーションを取るための大切な場なのだな、と気がつきました。

アペロのお酒はさまざまですが、やっぱりシュワシュワッと泡の入ったものだと、気分がぐーんと上がります♪(写真/井筒さん)


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【写真】いつかはしたい! 「パリでアペロ」
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