もちろん食事の間だって同じように話をしたりするわけですが、アペロのほうがもう少しカジュアルで自由がある感覚です。例えば人とより親しくなろうとする場合、日本では「ご飯でも行きましょう」と言うと思いますが、フランスでは「アペロしましょう」のほうが断然多いです。

カフェでワインをオーダーすると、オリーブやチップス、ナッツなどのつまみがついてくるので、それだけで「アペロ」が完成します。そのまま1杯だけでずっと話してもいいし、次のグラスをオーダーしてもいい。話が弾んで「ちょっと小腹が空いてきた」なんて場合は、シャルキュトリーなどをつまみつつ長居したりもできます。コースで出てくる食事とは違い、縛られないところがいいのだろうなと思います。

フランスでは「ご飯行こう」より「アペロしよう」。お酒呑みには最高の文化“アペロ”とは?_img5
カフェやレストランでのアペロでは、シャルキュトリーの盛り合わせなどが定番のメニュー。(写真/井筒さん)

ちなみに最近では、アペロ・ディナトワールというスタイルも多いです。これは、アペロのおつまみを多めに用意して、そのままアペロ兼夕食にしてしまうというもの。アペロ+正式なディナー(3皿にチーズ、デザートまで)よりもカジュアルで気楽だし、家主もお料理を頑張らなくて済む、ということで人気が高まっているそう。

と、こんなにアペロの楽しさを語っておきながら、実はまだ一度も我が家でアペロをしたことがないのです。理由は、夫がほぼお酒を飲まないので、食前酒をいろいろ揃えても、結局私一人で飲むことになっちゃうから......。

でもアペロは、酒呑みの夢であり、至福の時。いつかは、自家製の各種フルーツ酒とおつまみをあれこれ揃えた楽しいアペロを我が家で開催したいなあと思い、その機会を虎視眈々と狙っているところです。

 
撮影/Yas