Q3.セルフプレジャーに興味があります。「すると若返る」なんて話も聞きますが、本当にそんな効能はあるのでしょうか?  

A.セルフプレジャーは自分の身体と向き合うこと。リラクゼーション効果もあり。

 

さきほどのセックスの話と同様にセルフプレジャーも、する/しないは個人の自由です。セックスは相手のあることなので、お互いの気持ちが一致しないといけないので面倒もありますが、セルフプレジャーは気軽に取り入れられるのがいいところですね。

 

かつてのセルフプレジャーグッズはクリトリスを刺激する非挿入型が主流でした。最近は挿入型にも抵抗がない方が増えてきたとTENGAの調査でも明らかです。腟を動かすという意味ではセルフプレジャーはオススメです。脳への刺激にもなります。

私も「腟の萎縮が気になる」という方に、腟周囲を刺激し、リラックスさせる目的で医療器具のダイレーターやバイブレーターの使用をオススメすることもあります。エロチックな意味ではなく、腟をマッサージすることで血流が良くなり腟萎縮改善につながるのです。ストレス、加齢、閉経で女性ホルモンが減少すると、粘膜や皮膚のコラーゲンが減って薄くなり、腟が固くなっていきます。これがGSMの原因です。GSMの予防には、定期的なダイレーターやバイブレーターの使用が推奨されています。セックスで痛みがあるという方も、血流を良くするために使用したほうがよいでしょう。

セルフプレジャーに抵抗がある方でも、保湿と骨盤底筋トレーニングは大切です。自分の腟の中に指を入れられないほどカチンコチンになっているのはよくない状態なので、毎日の保湿の時に、尿道、クリトリスに保湿剤を塗った後、腟の中にかるく人差し指と中指をいれて、それを持ちあげるように骨盤底筋をギュとしめる練習をしましょう。頻尿、尿漏れ、便失禁、便漏れ、排せつの問題に悩まないためのセルフケアです。
 

 

関口 由紀(Yuki Sekiguchi) 
女性医療クリニック・LUNAグループ」理事長。人生100歳時代の日本の中高年女性の生涯にわたるヘルスケアを実践する第一人者。女性医療のスペシャリストであり、女性泌尿器科分野の専門医として、特にミドルエイジ以降の女性のフェムゾーンの悩み、セックスの悩みに寄り添う。2022年5月には、女性の性や身体に関するオンラインプラットフォーム「Femzonelab フェムゾーンラボ」をスタート。著書に『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす膣ケアの手引』(径書房)『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)など。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
イラスト/shutterstock

 

 

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