「どうして、好きな人に嫌われるようなことをするの?」


「たぶん、私の相手が若いと知ってプライドを傷つけられたんでしょうが、異常ですよね。執着というものの怖さを知りました」

浮気され、いわゆる“サレ夫”となってしまった勝也さんには少しばかり同情しますが、それにしても、これだけいがみ合う中で寝込みを襲うという行動はゾッとします。

またその間、3人のお子さんたちはどう過ごしていたのか気になるところですが、実子である3番目の息子さんの前では、夫婦はかろうじて冷静に過ごしていたそう。勝也さんはご自分の息子さんには真っ当な愛情を持っていたようです。

「一方で、中学生の2人は、夫婦の事情をほとんど把握していたので……この間にすごく大人になりました。罪悪感もかなりありましたが、本人たちは『男と女は拗れたら仕方ないよ』なんて、飄々と過ごしていました。なぜか年下の彼とも元夫以上に仲良くなり、私の味方をしてくれるのはありがたかったです」

お話を聞いていて、筆者はどうしてもお子さんの状況が気になってしまいましたが、なんとお子さんたちはこの記事も読んでいて、「珠美、学ばない女だなあ」と笑っているというから驚きます。

状況だけ考えると、妙齢でかなり波乱万丈な経験を積んだかと思いますが、それでもお子さんたちが母親を真っ直ぐに慕い、珠美さんの新しい恋人も新しい環境も受け入れ平穏に過ごしていられるのは、珠美さんが自分にも周囲にも嘘をつくことなく、果たすべき責任を果たし、堂々と行動しているからなのでしょう。

 

「家の問題は、結局夫と賃貸契約を結ぶことになりました。これに納得したわけでもないし、引っ越してしまえばよかったのかもしれませんが、子どもが3人もいると学校の事情や引っ越しの手間などもあり……。

当初夫から渡された賃貸契約書は酷いものでしたよ。『大家の知らない人間・異性は家に入れてはならない』なんて書いてあったりして。じゃあ息子の友達が遊びに来た場合はどうするの? と呆れました。この契約書を普通のものに修正するのにも、また弁護士を通して散々やり合いました」

このとき上のお子さんたちは、「あなたはまだお母さんのことが好きなの? なら、どうしてわざわざ好きな人に嫌われるようなことをするの?」と、素朴な疑問として勝也さんに投げ、彼は気まずそうに黙ったというエピソードもあるそう。

愛と憎しみは表裏一体と言いますが、憎しみが残っているうちは、結局相手に関心があるということなのでしょう。

ならば関係が壊れる前に思いやりを持ち、相手に嫌われない、むしろ相手が喜ぶ行動をすれば良いだけの話ですが、良い歳をした大人ほど、珠美さんのお子さんたちが訴えたようなシンプルな思いやりを持てなくなるのが不思議です。

「色々ありましたが、私は1人目の夫も、2人目の夫も当時は本当に好きだった。なのに気持ちは変わるので、一番当てにならないのは自分だと思います。お互い様ではありますが、2人目の夫には可哀想なことをしたと今は反省の気持ちもあります。たぶん、結婚に不向きな女なんでしょうね。

今の彼とも順調ですが、年齢差もあるので、さすがに結婚はしないつもりです。それに、始まったものはいつか必ず終わが来ると思うので。だったら、楽しく過ごせる時間を私なりに精一杯大切にしたいと思ってます」

現在は離婚騒動も落ち着き、お子さん3人と平和な日々を送っているという珠美さん。

多くの夫婦がそれなりの問題を抱える昨今の状況ですが、経済的・精神的に自立さえしていれば、ストレスや負担のある生活から解放され、自分が自由になれる選択はできるのだと改めて思いました。

今後も珠美さんらしい、自由な人生を歩んでいただきたいです。

写真/Shutterstock
取材・構成・文/山本理沙

 

 

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