国税調査官はレジを打っている時も見ている!

 

店の運営方法からも、いろいろなヒントが得られます。

たとえば、フロアーはアルバイトが担当し、オーナーと思しき人物一人しかレジに触っていないような場合、「現金管理のチェックは甘い」と推察します。

 

飲食店については、「現金売上の管理の方法」を確認することが税務調査での一番のポイントになります。オーナーしかレジを打っていない場合、売上のダブルチェックができてないことが予想されます。

売上のダブルチェックとは、お店を閉めたとき、現金の有高とレジの記録の合計が合っているのか、伝票の内容がすべてレジに打ち込まれているのかなどを二人以上の目で確認しチェックすることです。

一日中同じ人がレジを打っていると、お金の管理が甘くなるのは当然です。

売上を故意に除外するつもりがなくても、計上漏れにつながる可能性は高くなります。皆さんが飲食店の経営者となって、レジを打っている場面を想像してみてください。

あなたがレジにいると、近所の本屋さんがいつも店に置いておく雑誌を配達してくれました。さて、その支払いはどこからするでしょうか。まず自分のポケットから出さず、レジから支払いをするでしょう。

この場合、その日の売上金額を、店を閉めてから数えた現金の有高にしていると、本屋さんに支払った代金分は売上を少なく計上したことになってしまいます。売上は、現金有高からではなく、レジペーパーに記載された合計金額で計上すると、計上漏れを少なくすることができるのです。

私が調査官だったときは、店に入った時刻を携帯電話に記録し、注文をしたら、料理が出てくるまでの間にトイレに行っていました。

トイレに行く際は、店の中をよく見まわして、テーブルと椅子がいくつあるのかを数え、その数字を覚えておきます。満席になったら何人座れるのかを計算し、これも携帯にメモしておきます。

フロアー担当は何人なのか、奥の厨房には何人くらいスタッフがいるのかも、できれば確認しておきます。申告している売上に対して、スタッフが多いと感じたときは売上脱漏が予想されます。

トイレから戻ったらメニューをじっくり見て、どのメニューが売れ筋なのかをチェックします。料理が運ばれてくるまでの間、怪しまれなさそうであれば、メニューを携帯のカメラで撮ることもあるかもしれません。