人生で初めて会うタイプの人と結婚は、果たしてうまくいく?


「たとえばメニューや看板の漢字が全然読めなくて衝撃を受けることはたくさんありました。車の運転をしていても、地名はいざ知らず、標識の漢字も間違えて読んでるんです……。

いや、これはこう読むのよと笑いながらつっこむと、『え! 早苗ちゃん頭いいね、もしかして大学とか出てる?』って。サッカーワールドカップを見ていても、ほとんどの国がどのエリアにあるのか、どんな国なのか知らない。でも説明すると、へえ! そうなんだ! って嬉しそうにしていました。そんな調子でカッコつけなくて、ぜんぜん悪びれないから、こちらも気を遣う必要もなく……」

生涯で初めて会った、高卒のひとが彼でした、と早苗さんは屈託なく笑います。

 

その言葉は、冷静になると日本の断層のようなものを感じる一言でした。日本はヨーロッパのような階級社会ではありませんが、うっすらとすみ分けのようなものがあり、意識をせず生活すると自分と同質の人としか出会わないことも。

 

かつてはそのようなカテゴリーのなかで、例えば職場結婚やお見合いのように、同じ属性の人同士が出会い、結婚するというパターンが主流でした。しかし現代では出会い方も多様になり、そのような結婚のほうが減ってきているのかもしれません。

以前ほど家と家の結婚という意識もなくなったせいでしょうか。早苗さんと英明さんは、双方のご両親に驚かれつつも、1年間の交際期間を経て結婚します。思ったよりもスムーズですね? と少々意外な思いもあって尋ねると、早苗さんは「私ももう30代でしたし、結婚するまではとってもスムーズでした」と苦笑い。どうやらあまりにも育った環境が違う二人の結婚生活は、生活を共にするようになってから問題が勃発したようです。