「音楽の父」は愛妻家で子煩悩なパパだった


次に紹介するのは、「音楽の父」とも呼ばれるヨハン・ゼバスティアン・バッハ。先ほど紹介したリストとは対照的で、「女遊びは芸の肥やし」という駄言を一蹴してくれる愛妻家にしてよきパパ! それがバッハなのだと渋谷さんは教えてくれます。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750年)

バッハは1707年、22歳の頃にマリアと結婚。お互いに幼い頃に両親を亡くしていることからも、その境遇を深く理解し合って励まし合う、仲睦まじい夫婦だったといいます。やがて、二人には7人の子供が授かりました。しかし、この幸せは13年ほどで終わってしまったといいます。

 


亡き妻への想いがわかるバッハの名曲

「マリアは1720年、バッハが雇い主の旅行に随伴して留守の間に急病で死去したのだ。バッハが家に帰った時にはすでに埋葬を終えており、泣いて父を出迎える子供たちの姿があったという」

愛妻を亡くした頃にバッハが作った曲、「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調・終曲ジャコンヌ」を渋谷さんは、「何か心をどうしようもなく揺さぶる要素が備わっている。完璧な美しさの中に、苦しいほどの切迫感と悲壮感がある」と表現しています。