副業・複業。働き方が多様になったいまこそ、リアルな様子を知りたいですよね。

そこでパラキャリアを軌道に乗せた先輩にインタビュー。「一歩を踏みだした瞬間」と、その新しい世界を、教えて二足のわらじさん!

 

歯科衛生士として働きながら、未経験から一念発起、ご自宅でリラクゼーションサロンをオープン。現在はセラピストとしても活躍する今井恵理さん。保育園に通うお子さんを育てるシングルマザーでもあります。

人一倍エネルギッシュな方を想像していましたが、取材に現れた今井さんは優しい笑顔が印象的で穏やかな雰囲気。

「歯科衛生士は私の天職だと思えるくらい大好きな仕事です。そして10年この仕事に打ち込むうちに、意外なことに、もうひとつの天職も見えてきたんです。キーワードは『癒し』『誰かの役に立つ』。無我夢中で仕事をしていると、自分の核心が理解できるようになるのかもしれませんね。ひとよりゆっくり、不器用ですけれど」

小さなお子さんを育てる今井さんが、どのような経緯でふたつも天職を見つけたのか、その経緯と秘訣を伺います。

 

歯科衛生士を目指して大学を中退!?


小さい頃から人のサポートをすること、癒すこと、そして人体のしくみ、絵を描くこと、デザインが好きだったという今井さん。一見バラバラな特技や嗜好ですが、現在この全てを駆使して仕事をしているというので、その経緯と手法に興味津々です。

「絵を描くのが大好きで、ボランティアでイベント用にマップを描くなどしていました。のちにこれも仕事に役立ちました」(今井さん)

小さな好きを繋げた先に天職がある、と語ってくれた今井さん。

「学生時代に近所の歯科医院で受付兼助手のアルバイトを始めたのですが、これが本当に楽しくて。今日に至るまでそこから10年ほど歯科治療に携わっていますが、毎日患者さんと関われるのが私の幸せです。きっかけはその学生時代のアルバイトにありました」

当時、医院に自閉症の傾向がある小さなお子さんとお母さんが来院。初めての歯科治療が怖かったのでしょう、お子さんは暴れてしまうため、どこからも治療を断られてきたと受付の今井さんに訴えます。

なんとか治してくださいと頭を下げるお母さんの力になりたい。そう考えた今井さんは、医師に「お母さんのような女性の先生ならば怖い気持ちを軽減できるかもしれませんので、試していただけませんか? 私がクリニックに慣れるようにたくさんコミュニケーションをとります」と頼みこみます。

「最初は歯ブラシで遊んだり、器具を説明してみたり。寄り添ううちに、お子さんにどんどん笑顔も出てきて……ただただそれが嬉しく、やりがいを感じました。最終的に、泣かずに虫歯を治療することができたんです。なんてやりがいがあるんだろうと思いました。そして同時に、もっともっと患者さんの役に立ちたい、できることを増やしたいと考えました」

そこで今井さんが起こした「ある行動」が、彼女のキャリアを築いていきます。
 

次ページ▶︎ 思い立ったら即行動の今井さんの、驚きの行動とは?

シングルマザーの歯科衛生士が、エステサロンをオープンするまでの足跡はこちら
▼右にスワイプしてください▼