俳優さんの魅力2:俯瞰して状況を見て、自分の役割を果たす


多くの人がいる現場だからこそ、「場に馴染むこと」や「空気を読む能力」が必要となり、さらに、そこでの「自分の役割」をきちんと理解する必要が出てきます。

たとえば、名バイプレイヤーと言われる方々は、数々の撮影現場を経験しています。そういう方々ほど、状況を俯瞰していて、“自分が求められている役割”をきちんと果たそうとするのです。
「主役が輝くために、いいトスを投げて、自分を役立てたい」と考えている方も少なくありません。それができるのは、前述の「いい作品を作ることを一番大切にしているから」というのにもつながるでしょう。

 

俳優さんの多くが、「“自分の代わり”はいくらでもいる」とよくおっしゃいます。そんななか、“色々な現場に呼ばれる人”というのは、やはりそれなりの理由があるのです。
演技力はもちろんのこと、現場の空気を壊さず、みんなと友好的に作業を進められる人ほど、必要とされることは多いでしょう。

実は、個人的には、バイプレイヤーさんのお話を聞くのは、面白くて好きなんです。個性的で、人間力のある方々が多いですしね。
しかも、リアルにお会いすると、男性でも色気のある人は少なくありません。作品のなかでは“さえないおじさん役”を演じていても、実物は素敵な人であることも多いのです。

 

“業界全体を見る広い視野”を持っている人も


「俯瞰して現場を見る」だけでなく、映画業界全体のことも考えながら、俳優業をやられている方もいらっしゃいます。
俳優さんにとって、自分が主演する映画がヒットしないと、その後の自分の仕事にも影響が出てくるもの。でも、俳優さんの中には、一時期、業界内で時代劇は「当たらない」と言われていたときに、敢えて時代劇の仕事を選ばれた方もいらっしゃいます。

それは、今、時代劇を作るのをやめてしまったら、小道具を作る職人などが廃業してしまっていて、できなくなってしまう恐れがあるから、ということでした。
そういう俳優さんたちの“男気”が、時代劇を支えているところもあるのかもしれません。

人間力がすごいと感じた俳優さんたちの「ある共通点」


私自身は、特別に時代劇が好きというわけではないのですが、それでも、実際にお会いをすると、「時代劇で主役を張る俳優さんは、魅力が一段上の人が多い」と感じています。
男も女も惚れさせるような「器の大きさ」と「色気」を感じさせる人が少なくないのです。

よく京都の撮影所は、プライドをもって技術を磨いている職人さんが多いので、その人たちに俳優として認められないとやっていけないと聞きます。
たとえテレビで活躍していても、職人さんたちの目に「俳優」として映らなければ、相手にされないといっても過言ではないくらい厳しい世界のようです。

そんな世界で主役を演じるような人は、やはり只者ではないですし、実際にお会いをしてお話を伺うと、貫禄だけでなく、知的でユーモアもあって、インタビューが終わったころには、私も惚れてしまうくらい素敵な人が多いのです。

同じ役でも「誰が演じるのか」によって、印象は随分、変わってきます。そこには、演技力だけでなく、俳優さんの人柄がにじみ出るからだと言えるでしょう。
実は、俳優さんの中には、独自の人生哲学を持っている方は少なくありません。発想がユニークなのです。次のページで紹介します。