高度医療を行う病院には週1日、5回通いました。めーちゃんは全身麻酔で放射線の照射を受けます。腫瘍の場所が奥まったところにあるため、的確に照射するには獣医師の高い技術が求められるとのことでした。毎回、全身麻酔から目が覚めるまでの間は本当に怖かったです。このまま目覚めなかったらどうしようという不安があったからです。めーちゃんは毎回ぐったりしていましたが、治療終了後は症状が安定し、2〜3ヶ月もすれば体重も少しずつ戻り、明らかに元気になっていきました。本当にうれしかったです。

獣医師には、放射線治療の効果は半年くらいと言われていましたが、1年半くらいはいい状態が続いていました。ひとりきりの決断は辛かったけど、あの時の選択に間違いはなかった、と思えました。

目をキラキラさせて見上げるめーちゃん。

ところが約半年前に、再び鼻水が出始めて、時折鼻血が混じったりするようになりました。とうとう恐れていた再発か……、と獣医師に相談すると、再び放射線治療をしても、初回ほど効く保証はないと言われました。それにめーちゃん自身、14歳になっています。体力は確実に落ちているはずです。

 


そんな時、獣医師から抗がん剤の新薬を勧められました。決して安い薬ではありませんが、副作用がほとんどないと聞き、薬による抗がん剤治療を決断しました。定期的に病院に通って薬を処方してもらい、4日に1回投薬しています。その薬の効果があったのか、今は、鼻水などの症状は落ち着いています。

2年前の放射線治療の時を振り返ると本当に大変でしたが、緊急事態宣言発出中で店が休業中だったので、めーちゃんのそばにずっといてあげることができたのはラッキーでした。

実は今年の秋になって、新たなパートナーと一緒に暮らすことになりました。高齢で闘病中のめーちゃんにストレスを与えたくないと思っていたのですが、彼との相性がよかったのか、あっという間に仲良くなりました。“男二人”で楽しそうにしているのを見ると、私もうれしくなります。

また、いつかは訪れる看取りのことは正直なところ覚悟ができていません。長らくめーちゃんと“二人”暮らしだったので、私ひとりで見届けなきゃいけない、と思っていたのですが、彼と一緒にめーちゃんを看てあげられる可能性ができたことも、私にとっては幸せなことです。

めーちゃんが治療を頑張って乗り越えてきたからこそ、今があります。歳を重ねてますます穏やかで優しい子になっていくめーちゃん。だから私はこれからも、この小さな命を守るために、できることは何でもしたいと思っているのです。


イラスト/Shutterstock
文・編集/吉川明子

 

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