──一般の保護犬・保護猫の譲渡は、どんな流れで行われているんですか?

まずは里親募集の掲示板などで募集をし、問い合わせて下さった方に、最初はデメリットを中心に「こういうことがありますよ」と説明します。それでも飼いたいという方には直接会ってマッチング。譲渡してほしいということになれば、この後に1ヵ月くらいのトライアルを経て譲渡——という流れが一般的です。私の場合は「里親希望者が『譲渡してほしい』と言うまで」がトライアルだと思っているので、トライアル期間は設けていません。

──譲渡の段階でかかる費用は?

譲渡金がかかります。譲渡金とは、里親になる方に、保護団体や保護活動家が保護した時に支払った医療費(ワクチンや避妊など)を負担していただくというものです。相場としては3~5万円くらいですが、それぞれの子や団体によって異なります。

保護活動者のところで一通りの検査は済んでいるので、すぐに何かが起こることはめったにありませんが、想定外の何かがおこることもありますので、金銭的には余裕を持って見ていただいたほうがいいですね。保健所や愛護センターなど、行政が行っている施設からの譲渡の場合は、また違ってきます。

──保健所から譲渡してもらうこともできるんですか?

できますよ。保健所や愛護センターは民間でなく行政なので、ほぼ全部の場所が見学できるんです。

私はよく「保健所に行ってみて」と言うんですよね。みなさん「なんとなく怖い」というイメージがあるみたいで行かないんですよね。そんなことないんです。「保健所は怖い」と言っていたうちの姉は、「行ってみたらすごくいいところだった」と子猫を一匹連れて帰ってきました。そういうことって割と「あるある」です。

──なんとなく「保健所=殺処分」のイメージがあります……。

そういうイメージは悲しいなと思います。保健所や愛護センターには、動物が好きですごく頑張っている人がたくさんいます。私もYouTubeやインスタで「保健所/愛護センターの人がどれだけ動物に真剣に向き合っているか」を発信しています。

この間は、佐世保で保護された寝たきりの老犬がセンターですごく手厚く看取られたことを、「動物福祉が変わり始めている」と投稿したんですよね。皆さんそういうことを知らないので、すごい反響でした。

「センターって一度も行ったことがなかったけど、そんなことをやっていたんだ」「センターの人たちって、そんなに犬猫が好きだったんだ」「私達も変わらなきゃ」っていうコメントが付いて、あれは胸にぐっと来ました。

 

生後まもなく、目の前で母猫を交通事故で失い、さらに先天性の疾患で心臓に小さな穴が見つかったジジ(左)。いまはたまさんのお姉さんの家で、仲良しの兄弟キキ(右)と一緒に暮らしています。