「障害は個性」という言葉が冷たいと感じる理由


濱田:でも、やっぱり障害がある人のなかには命に関わる病気の人もいて、その人に「それがあんたの個性だから」とはとても言えない。その面を考えると、「障害は個性」っていうのはどうなのかなと思いますよね。やっぱり病気とか事故の影響で見えないとか聞こえないとか、車いす生活っていうことになっているんで、それを個性って言うのはやっぱりどっかしら冷たさがあるのかなって思います。

ーー障害がある人が、自分の障害を個性だと思うのはいいと思うんです。ただ、障害がない人が、障害がある人に対して、あなたの障害は個性だよねって言うのは全然違う気がします。障害を経験したことがない他人が言うと、冷たいっていうか、無神経だなって思いますね。

 

濱田:障害以外のことで自分に当てはめられることで考えたときに、例えば「歌うまいね」って言われたらそれは個性でいいかなと思うけど、「歌音痴やね」って言われたとしたら、歌音痴なことが個性だと言われるのは腹が立つと思うんですよね。だから視力が良くて、遠くまでよく見えるんだったらそれは個性でいいと思うんですけど、目が見えないことを個性って言われるのは、僕はですけど、やっぱり違和感あるかなって思いますよね。

 

自分はあくまでお笑い芸人


​―​―障害者を取り巻くトピックに関して、すごくはっきり意見をおっしゃる一方で、誰かの気持ちを代弁したり、障害者の代表として何か言うというつもりはないというのが濱田さんのスタンスなんですよね。

濱田:発信する上で、唯一意識しているのは、障害のある人たちに寄り過ぎないように、逆に障害のない人たちの意見にも寄り過ぎないようにみたいなところですね。あと、僕はお笑い芸人なので、多様性を認め合う世の中になったらいいとか、SDGsについて語るつもりは全くないです。
福祉関係の営業の仕事でこだわってることがあって、「お笑いライブ」とか「お笑いトークショー」とか、題名のところに「お笑い」っていう言葉を入れてくれ、僕が発信するのはお笑いです、と。僕の話を聞いて、社会のためになることを思いつく人がいてもいいし、やっぱり濱田祐太郎はだらしないなと思う人がいてもよくて、どう受け取るかはお客さんの自由なんです。でも、あくまで僕が発信するのはお笑いですよっていうのだけは、伝えるようにしようっていうのはこだわりとしてありますね。「講演会」みたいな体裁でやってくれみたいに言われることはあるんですけど、「講演会はやりません、お笑いライブだったらやります」と言っています。


インタビュー前編
他の芸人ならOKな笑いが、障害者がやると不謹慎になる?濱田祐太郎が「お笑いとコンプライアンス」に思うこと>>


写真:Shutterstock
取材・文/ヒオカ