“偏見”の老害と、“正義”の老害。じつは、2種類の「老害」があった

 

高齢者の多くは、「自分は“老害の人”ではない」と思っているでしょう。

迷惑行為をしているほかのお年寄りの姿を目にして、「あんな人にはなりたくない」と考えている人も多いと思います。その一方で、「いずれ、自分も“老害の人”と後ろ指をさされるかもしれない」と、謙虚に考える人も少なくないでしょう。

お年寄りというだけで、老害のレッテルを貼る風潮が根強くあります。“偏見”によって決めつけられる、いわれなき「老害」も、残念ながら確実にあるのです。

 


たとえば、運転免許証の自主返納をめぐる「老害」の議論は、その代表的な例です。息子さんや娘さんから「もう歳だから」と返納を勧められても、運転に自信があれば、首を縦に振らないでしょう。それでよいと思います。

交通網の発達している大都市圏と違い、地方は公共交通機関が未整備で、車がなければ、買い物にも病院にも行けません。免許を取り上げられたら、死活問題です。警察庁が作成した2022年の「交通事故発生状況」という統計によると、高齢者の起こした事故は人口10万人あたりで65~69歳が約300件、70~74歳と75~79歳がともに300件台で、ようやく80歳以上になって400件を上回るようになります。

一方、16~19歳は1000件を超え、20~24歳は600件台と若者のほうが多く、お年寄りの事故が突出して多いわけではありません。

ですが、あくまであなた自身が危険な状況におちいらないために、息子さんや娘さんが心配して、免許証の返納を提案していることだけは忘れないでください。