初対面の人とも出会わせてもらった、嬉しい驚きに満ちた時間


——新刊エッセイの『BLANK PAGE』には15人のゲストが登場しますが、初対面だった人もいるんですか?

内田也哉子さん(以下、内田):漫画家のヤマザキマリさんは、この機会に初めてお会いした方の一人です。もちろん漫画もエッセイも読んでいて、おこがましい表現になるかもしれませんが、どこか似ている部分があると感じていました。強烈なお母さんに育てられたという共通点もありますし、お互いに若い頃から一人で海外に行った経験もありますし、違う人生を歩んできたはずなのに、こんなに精神的につながることができるのかと。嬉しい驚きに満ちた時間を過ごすことができました。

 

詩人の伊藤比呂美さんとも初めてお会いしたのですが、詩のイメージから推測すると強烈なリアリストなのかと思いきや、実はすごいロマンチストな人だと感じました。お話ししていると、作品を通して勝手に抱いていたイメージとぜんぜん違う景色が広がっていたんです。私自身が固定観念や先入観に苦しめられてきた経験があるのに、自分こそが色眼鏡で人を見ていた部分もあったなと……戒めにもなりました。

 


——単行本の最後に収録されているのは内田さんと同じく芸能一家に生まれたシャルロット・ゲンズブールさんです。国籍を超えて共鳴する部分があったのでしょうか?

内田:パリにお住まいのシャルロットさんとはオンラインでの対話でした。言語も文化も違うけれども、お互いに両親が表に晒される職業で、家庭が調和することなくいびつだったところなど、お話ししていて気持ちが重なる部分がありました。モニター越しの彼女の周りには誰も取り巻きがいなくて、ノーメイクで自然体。それでも凛とした美しさを放っていていることが印象に残りました。こうしてみると、本当に多様な人と出会わせてもらいましたね。自分よりもずっと若い世代とも対話をしてみたかったですが、今回は谷川俊太郎さんが90代、養老孟司さんや窪島誠一郎さんが80代で、人生経験がとんでもなく分厚い先輩方にお会いすることが大きな意味をもたらしてくれたと思います。