とうとう出会った運命の人、唯一の懸念


美咲さんと和也さん(仮名)はマッチングアプリで出会いました。

コロナ禍で出会いが少なくなったこと、また周囲でもマッチングアプリの出会いや結婚の話をよく聞くようになったことから、美咲さんも結婚相手を探すべくアプリを初めました。

「現実と同じく、アプリを長く眺めていても、そう簡単にピンとくる人はいません。でも彼はプロフィールで好感を持ちました。2つ年上、同じ地元、都心在住。年収3000万円の経営者で子どものいないバツイチ。『すぐにでも結婚したい』『子どもがほしい』にチェックがついていて、プロフィールの文面を見ても、何となくいいな、と思いました」

アプリ上でマッチすると、メッセージのやりとりもスムーズに進み、2人はすぐに食事へ行くことに。

「その日は、初デートとは思えないほど楽しかったのをよく覚えています。唯一、外見があまりタイプでないことが懸念でしたが、そんなことどうでも良くなるくらい、とにかくずっと笑っていて、すごく面白い人だと思いました。二次会でシーシャバー、三次会でダーツバーへ行き、お互いに帰りたくなくて朝方まで盛り上がったんです。そんな出会いははじめてでした」

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初対面で、2人は結婚観や将来のことも深く話し合いました。

和也さんは離婚経験があるということでしたが、実は美咲さんも20代の頃に婚約破棄をしています。原因は相手の浮気でしたが、美咲さんもその彼を職業や学歴などで選んだ部分が大きかったため、次は本気で好きな人、愛を持って家庭を育める人を探したいと思っていました。

 

一方で、和也さんも離婚した元配偶者は仕事に専念するため家事能力が高く、子供をしっかり育ててくれそうな女性という条件重視で結婚したものの、結婚後に価値観が合わず破局してしまったとのこと。

お互いに次は打算のない恋愛結婚を望んでいる点が同じで、また結婚式は友人をたくさん呼んでわいわいやりたい、さらに新婚旅行では2人きりでフォトウェディングもしたい……という話で大いに盛り上がったと言います。

「こんなに話が合って、過去の経験や価値観も同じ人と出会えるなんて奇跡だと思いました。次に会ったときに告白され付き合うことになり、幸せな気分でした。出会うべく人と出会った、運命の人だと本気で思いました」

2人の交際は順調で、毎日LINEでマメに連絡をとり、週末はお泊まり、平日も仕事が早く終われば一緒に食事をする日々だったそうです。

たしかに流れを聞く限り、お互いに大本命に出会った印象です。しかしながら、このときから一つだけ違和感はありました。

「ただ、家に行ったことがなかったんです。彼の家は都心のタワーマンションで、近くを通りかかったときに『ここだよ』と教えてもらいましたが、実はお母さんと一緒に住んでいるとのことで。

というのも、彼の両親は昔離婚していて、ずっと母子二人暮らしだったけれど、色々と苦労が重なりお母さんが鬱病になってしまったという話でした。昼間はヘルパーさんに見てもらっているけど、精神不安定で繊細だから私を紹介する時期は慎重に考えたいと言われていました」

その話は病気の詳細な様子などとてもリアルで、美咲さんは特に疑うことなく彼を信じていたそう。

実際、彼の母親は鬱病を患った過去がありましたが、しかし現在体調に問題はなく、息子とは別に暮らしていることは後から知ることになります。