ジェンダー問題について意識して発言


—— 公務を通じて、少しでも世の中を良い方向に変えていきたいという強い思いをお持ちのようにお見受けしますね。

大久保さん:ご自分のお考えをしっかり発信されています。例えば、ジェンダー問題については意識して発言しておられますね。

佳子さまは、昨年9月30日に仙台市内の東北大学で行われた「女子大学生誕生110周年の記念式典」に出席されています。110年前の1913年に、大学で初めて女性の入学を許可したのが東北大学でした。女性の社会進出が難しかった時代で、当時の総長が3名の女性の受け入れを決断したのです。佳子さまは、式典のスピーチで、


「女性が理系を選びにくい背景の一つには、社会が作り出す雰囲気があるといわれています。……偏見が作り出す社会の雰囲気や圧力は、あらゆる状況で数多く存在します。理系に関するものや、女性に対するものだけではありません。そして、そうした雰囲気や圧力が、社会や個人の可能性や選択肢を制限したり、個人が自分自身の可能性や選択肢を制限したりすることにもつながっていると感じます。……誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらがあたりまえの社会になることを心から願っております」
 
2023年11月「第45回少年の主張全国大会〜わたしの主張2023〜」にご臨席された佳子さま。写真/JMPA

と述べられました。さらに、10月22日に東京都内で行われたガールスカウト日本連盟が主催の「ガールズメッセ2023」にご出席された際には、このように話されています。


「社会のなかでは、大人から子どもへ、無意識なものも含め、偏った思い込みが伝わっていることが多々あると感じます。……次世代を担う子どもたちがジェンダーにとらわれず、自分の思い描いた未来に向かっていくことにつながるよう願っております」
 


—— ジェンダーに関する差別が、あらゆるステージで存在するいまの日本の現状を的確に捉えて、若い世代にも伝わりやすい言葉で話されていますよね。

大久保さん:平易な言葉で強いメッセージを発していると思います。非常にフランクでカッコつけない姿勢が若い人たちに響くのではないでしょうか。そういえば、ペルー訪問時でもそんな場面がありましたね。例えば、世界遺産にも指定されている”空中都市”マチュピチュにいらした時に同行記者団から感想を聞かれ、「おお~!という感じ」とおっしゃっていました。一部では、皇族としてどうなのかと話題にもなりましたが、あれは佳子さまのとても率直な表現だったんじゃないかと、私はとても新鮮に感じましたし、実際に若い人からは共感を得ていました。