婚姻期間が長いからこそ得られるメリットがあった

 

餅は餅屋ということで、父親から母親への借金をどうすべきか司法書士の先生に相談したところ、以下の回答を得ることができました。

「①返済は1年に1回程度払える額で良い。②金利は住宅ローンより少し安めでもいいので、ちゃんと付けておくこと。③将来、ご主人が亡くなったら、借金は相続財産にはなるが、妻は相続財産が6億円あったとしても3億円まで無税。数千万円の借金など問題に及ばず。よって所有者であるお母さんはマンションに住み続けられます」
 

 


さらに、知人に紹介された地元の税理士さんからは、借金ではなく「おしどり贈与」での資金援助を提案されました。

「『おしどり贈与』とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、一定の要件を満たす居住用不動産もしくは『居住用不動産の購入資金』を贈与した場合に適用されるもので税金はかからない。結婚60年越えの父が、夫婦で暮らす居住用のマンションを購入するため母に購入資金を贈与するのだからストライクゾーンである」

資金の問題が何とか片づき、気持ちに余裕のできた井形さんは、一連のやり取りを通じて気づきを得ます。それは、お金とは違う分野に関することでした。

「それにしても、結婚の効力というか、社会通念上、承認された夫婦って、本当に無敵なのだなぁとつくづく思った。伴侶に先立たれ、シニア同士がお見合い結婚するのも、結婚のメリットに再びあずかりたいという思いもあるのかと、余計なことまで考えてしまった」