日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、ワークライフバランスにまつわるモヤモヤエピソードです。

 


「仕事を減らしましょうか?」にドキッ


エピソードをお寄せくださったのは、外資系企業で働くリホさん(40歳・会社員)。
 


この一年くらいずっと、ワークライフバランスについて悩んでいます。

きっかけは、半年前にメンタル不調を自覚したこと。仕事がハードな日々が続いて夜は眠れず、ふいに涙が出たりめまいがしたり……。ある日決意してメンタルクリニックに行ったら、「適応障害」と診断されました。以来、いくつかの薬を飲みながら通院を続けています。

私が働いている会社はザ・競争社会。平日はガンガン働いて、休日はゴロゴロ寝てるだけ……そんな生活をずっと続けていました。人間関係は職場で完結しているし、「一度競争から降りたらもうおしまい」になってしまう気がするんです。「メンタル不調なんて言ったら評価が下がるのでは」と不安で、しばらく上司には言えませんでした。しかし、あまりにも体調が悪化したので状況を説明することに。

「仕事を減らしましょうか。リホさんはどうしたい?」

激務な環境なので私のような人は珍しくないようで、思いのほか上司は冷静に話を聞いてくれました。今の仕事が負担なら、仕事を減らすか、もっと楽な部署に異動するか。私の意思をもとに考えてくれるとのことです。

上司の申し出をありがたいと思う一方で、「仕事を減らす」という選択肢をリアルに示されて、プライドが傷つきました。自分からメンタル不調を訴えているのに、矛盾していますよね……。その面談以来、「私ってダメ人間だったんだ」とますます気分が落ち込んでいる気がします。

 


心と頭は一筋縄ではいかないもの

 

競争社会で頑張って頑張って、心が少し疲れてしまったんですね。ちゃんと病院に行くことができて、専門家のサポートを受けることができて本当によかったです。リホさん、お疲れ様です。

自分の状況を冷静に自覚して、病院に行ったり上司に相談したりできるリホさんはとても理知的だと思いました。適切な対処をするタイミングを逃してしまい、ある日突然スイッチが切れてしまう人もいるはずです。リホさんがその手前でとどまれてよかった。

一方で、「仕事が負担で心身の調子が悪い」と上司に相談したはずなのに、「仕事を減らそうか?」と言われて動揺してしまう気持ちも分かります。

私たちの心と頭は、いつも論理的で一貫性があるわけではありません。メンタル不調に陥っているときなんて、なおさらだと思います。自分の中に矛盾を感じて混乱したり、より自分を責めたりしてしまうのは、疲れている今のリホさんには負担だと思います。まずは、心と頭には矛盾があるのが普通、と認めてあげてください。


スペースを空ければ、新しいものが入ってくる

 

いろいろな矛盾を抱えているのが人間。でも、仕事の場では「矛盾全開」でいるわけにもいかないですよね。

リホさんの心に芽生えた「仕事を減らすことへの抵抗」に改めて向き合って、今の自分が本当に求めているものを考えてみましょう。

もちろん、今のリホさんに一番必要なのは「休養」だと思います。しかし、これまで競争社会でバリバリ生きてきた人が、休養する選択をするのはなかなか難しいもの。この決断には、メンタルクリニックの先生など、専門家と相談するのがベターではないでしょうか。

 
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