クラシック音楽コメディを描いた大人気マンガ『のだめカンタービレ』の作者、二ノ宮知子さんが手がける新たな舞台は東京下町の質屋。そこから見える人間的ドラマ、また知らなかった質の世界やジュエリーの奥深い魅力など、最初から最後まで余すことなく読み応えのある漫画を紹介します!

 

タイトルにもある“七ツ屋”とは、質(しち)=ななと読むことからきた隠語。江戸時代から続く老舗の質屋、倉田屋がこの物語の舞台となっています。主人公の志のぶは、他界した祖父の代わりに家業の質屋で宝石の鑑定をしている女子高校生。この倉田屋には、名家の一族が離散し“質流れ品”として幼い頃に預けられた北上顕定がいて、顕定は離散した一族に代々受け継がれていた「幸運の赤い石」の行方を探していているのです。

この漫画の魅力の一つは、倉田屋で出会う様々な宝石にまつわるストーリー。顕定は老舗ジュエリー店の外商として優秀な腕を持つ宝石の鑑定士で、イケメンかつ正確な仕事ぶりでたくさんの女性客を魅了しています。一方で、志のぶは宝石の“気”が見えるという特殊な才能の持ち主。宝石に関して本物はもちろん偽物を見抜くだけでなく、その背景にあるものをみる力にも優れていて、天才?それとも天然?と魅力たっぷりに描かれています。

ダイヤモンドやルビー、ピンクサファイヤなどなど、志のぶと顕定が宝石の魅力について語る場面は、婚約指輪以外には宝石に縁のなかった私にはいいね!を100回したいくらいに勉強になることばかりです。宝石は世界中の人々を魅了し続けるからこそ、盗難が相次ぎ、偽物ができ、人の闇をも時に際立たせていくものでもあります。宝にまつわる光と闇が人間の心の裏側の部分も描き、コメディ要素だけではない奥深さがこの漫画には描かれています。

顕定が探している「幸運の赤い石」はもちろん、顕定と志のぶが今後どんな風になっていくのか、読みどころが満載の『七つ屋 志のぶの宝石匣』。私個人としては、描かれているアンティークのジュエリーが本当に可愛くて……ため息の連続でした。

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『七つ屋 志のぶの宝石匣』

著者 二ノ宮知子 講談社

舞台は東京下町の質屋、そこは色んな人が集まる、人間味あふれる場所──。 ある日、志のぶの元にブルーダイアが持ち込まれた。一方、顕が金持ちマダムから大きなダイアの鑑定を託される。この二つのダイアには、裏があって…。 「宝石×質屋」=新・二ノ宮劇場の開幕です──!!