同じタイミングで女性が必要となる3つのお金

 

野尻:40代女性は、ジレンマならぬ、もう一つプラスした「トリレンマ世代」と私は呼んでいるんです。

子どもの教育資金
自分の老後資金
親の介護資金

が同じタイミングで必要になる可能性があると危惧しています。

 

今の新生児の母親の年齢で、35歳以上の方が28%くらいいらっしゃいます。つまり、4人に1人は、子どもが大学生の間に、夫か自分が60歳になる可能性がある。自分たちの親の年齢は、そのころ80代後半ですよね。

つまり、子どの教育費が一番かかる時期に、自分たちは老後を迎え、さらに上の世代は介護の問題をかかえる時期にさしかかってしまうのです。

――すべてのお金も切迫していて、削れない……。

野尻:そうなんです。この3つの問題が同時に重なる人が全体の20数%だとすると、今は出生数が年間100万人を切っているので、毎年20万人くらいのイメージでしょうか。10年もそれが続いているとすると、ざっと200万世帯がこの問題を抱える状況になります。
 
きちんと対策を立てないと大変なことになります。

――子どもが小さい家庭なら、時間がまだあるので対策も立てられますね。

野尻:子どもが小さいときも、それなりに支出が多いタイミングではあると思います。ただ、本人が将来のことを考えて腹をくくれるかどうか、ですね。つまりその気になるかどうかで、将来に向けた準備ができるかが変わってくると思います。

講演などでもよく言っているのですが、女性は結婚していても最後の5年ほどは自分が一人になることを覚えておく必要があります。一般的に女性の方が寿命が長いですから。

では、その一人になる5年分のお金も、ちゃんと用意できているかどうか。ぜひそのあたりも含めて、お金について向き合っていってほしいと思います。

文/西山美紀
撮影/山本遼
構成/片岡千晶(編集部)


 

前回記事「夫より妻がお金を管理したほうが貯まるという現実」はこちら>>

 
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