ヘアライターさとゆみ(佐藤友美)の新連載。ニュースな女性たちのヘア&メイクをチェックするコラムです。今回は、2007年に大ヒットしたシーズン1から13年。篠原涼子さんの主演で再びの『ハケンの品格』を取り上げます。

 
【ドラマ解説】
『ハケンの品格』
派遣社員として特Aランクのスーパーハケンだった大前春子(篠原涼子)は、13年の間に、特Sランクにパワーアップしていた。13年ぶりに大前を呼び戻したのは、S&F営業企画課の里中賢介(小泉孝太郎)。S&Fグループは、かつての勢いを失い、社員たちの士気は下がりぎみ。働き方改革、副業、AI導入、セクハラ&パワハラ……など、さまざまな現代社会の課題を盛り込んでドラマは進む。

【画像】篠原涼子、鈴木保奈美……ドラマヒロインの髪型を徹底分析!>>

 

ヘアライターのさとゆみです。

めっちゃワタクシごとですが、ライターになる前は、テレビ番組のADをしていました。
そのAD時代、一番やらかした出来事は、すっぴんの篠原涼子さんにむかって、「篠原さんが遅刻されていまして、篠原さん待ちです」と伝えたことです。(マネージャーさんだと思った)。

メイクを終えてスタジオ入りした篠原さんを見たとき、さーっと血の気が引いたよね。その日の収録は一日中生きた心地がしなかった。

あ、誤解ないように言うと、篠原さん、当時からもちろんすっぴんも美しかった。ただ、その頃はすごく濃いメイクで出演されている時代だったのよねー。まだ篠原さんが、女優ではなく歌手だった時代の話。
今回、『ハケンの品格』で、化粧っけなしの顔が美しすぎる篠原涼子さんを見て、年々輝きを増す姿は、女としてほんと勇気をもらえると思うわけです(46歳だって!)。

というわけで、帰ってきたぜ! 『ハケンの品格』。
今日は篠原涼子さん演じる大前春子のヘアメイクをチェックするよ!
 

髪を切るシーンは、キャラチェンジの証


13年ぶりの大前春子。どんな登場シーンになるか気になっていたのだけど、これ、昔のバージョンを観ていた人にとっては、ニヤリ、な登場シーンだったよね。

スペインのアンダルシア。現地の人たちにめっちゃ愛されている大前春子。東京から「ハケンの仕事が入った」の連絡。帰国。そして、ハサミでばっさり髪を切るシーン。
2007年と同じシチュエーション、同じ展開。
「わ! 大前春子、戻ってきた!」な期待感あおるスタートがよかったなー。

 

アンダルシアの大前春子、フラメンコを踊っているので、アップヘア。フェイスラインでゆらゆらと揺れる通称「じゃらし毛」があざといほどに色っぽい。よく「男は揺れるものを追いかける習性があるから、デートのときは揺れるピアスをつけておけ」なんて恋愛指南本に書いてあったりするけれど、あれの、髪バージョンですな。
フェイスラインに落ちる髪は顔に影を落とす。これがまたセクシーに見える。揺れる毛を顔まわりに仕込んでおくのは、全女子が見習っていいやつ。

そんなセクシーヘアの大前春子が日本に帰ってきて、自分でばっさり髪を切るシーンが印象的です。

これは『ハケンの品格』に限らないけれど、ドラマや漫画や映画の中で、主人公が髪を切ったり髪色を変えたりするシーンがあったら、それはほぼ100パーセント「キャラチェンジ」の瞬間を示す
有名なところでいうとオードリー・ヘップバーンが「ローマの休日」の中でショートヘアにするのとか。あれは王女である自分を脱ぎ捨てて、一人の女に生まれ変わるキャラチェンジの瞬間なんですね。
『ハケンの品格』の場合は、プライベートな時間を楽しむ一人の女性・大前春子から、スーパーハケンの女にシフトチェンジする瞬間を示しているというわけ。

ちなみに、裁ちバサミみたいなものでばっさり髪を切ったシーン、あれは切られた髪はエクステだと思う。あれ、かっこいいシーンだけど、地毛でやったらお直しが大変だから、良い子は真似しちゃいけません。

前回同様、うまいなーと思ったのは、この「キャラチェンジ」の見せ方なんですよね。
ひとたびハケンとして働き始めると「給料泥棒の正社員ども」と、きつい言葉を吐く大前春子なんだけれど、視聴者は先に色っぽい大前春子や、子どもに好かれている大前春子を見ているから、愛想のないキャラ設定でもファンになりやすいという仕掛け
この「ギャップ」を髪で演出しているところが、ヘアライター的には萌えます。

 
  • 1
  • 2