めまいの治療。メニエール病には塩分制限も有効

 

めまいの治療は、原因によって大きく異なります。良性発作性頭位めまい症(BPPV)の場合には、Epley法と呼ばれる特殊な頭位変換、体位変換を用いた治療法が有用である一方、有効な飲み薬や点滴薬というのはありません。薬剤投与によりかえってめまいの悪化につながることもあります。

メニエール病や前庭神経炎の場合には、飲み薬が有効な場合があり、試す価値があります。また、メニエール病では、塩分制限が有効なことも知られていて、多くの医療機関で試されているのではないかと思います。加えて、症状が持続する場合には、リハビリテーションも有効です。

脳梗塞や脳出血の場合には、原則入院が必要となり、緊急での治療開始が必要となる場面もあります。また、発症後のリハビリテーションも、めまいの改善に重要な役割を担います。


めまいの予防は、全身の健康につながっていく


症状を繰り返しやすいメニエール病などの場合には、予防も有効です。メニエール病は、症状の引き金が明らかでないこともありますが、塩分過多、カフェイン、アルコール、タバコ、精神的ストレスなどが引き金になることもあります。もしこれらに心当たりのある場合は、引き金となるものを避けることで予防につながります。

塩分を控え、アルコールの過剰摂取を避ける。タバコを止める。適度な運動を行う。リラックスする時間をとり、精神的ストレスをためない。このような生活習慣の改善が、めまいの予防につながるのです。

また、これらの対策は、メニエール病のみならず、脳梗塞や脳出血、ひいては、心臓の病気やがんの発症率の低減といった全身の健康にもつながっていくものです。めまいにお困りの方は、健康増進という意味も含めて、ぜひ一つでもはじめてみてください。

これらを行ってもどうしても良くならないという場合には、薬物治療を行ったり、手術するケースもありますので、お近くの耳鼻科や内科のある医療機関までお問い合わせください。

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参考文献
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